“環境に優しい選択だというのはもちろん、人々の“想い”を受け取ることができるということもヴィンテージの大きな魅力だと思います。”
映画『月』で日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞や報知映画賞、キネマ旬報ベスト・テンの助演女優賞を受賞した昨年に引き続き、今年もドラマ「SHOGUN 将軍」や「Eye Love You」など話題作への出演がつづく二階堂ふみ。俳優としてさらなる飛躍を遂げている彼女だが、音楽や映画、アートといったカルチャーから環境問題や動物愛護まで、そのバックグラウンドは実に広く奥深い。物事を深く見つめて学びながら、生き生きとした感性や独自の世界観を保ちつづける彼女にとって、ヴィンテージのファッションもまた人生を豊かにする糧の一つだ。
「環境に優しい選択だというのはもちろん、人々の“想い”を受け取ることができるということもヴィンテージの大きな魅力だと思います。自分が生まれる前に作られたものが今も残っているというのは、作り手によって丁寧に仕立てられたものであり、それを手に取った人々が大切に受け継いできたものだからこそ。そういう服を着ていると自分自身も心地よくなれるし、新しい場所に連れて行ってもらえるような気持ちになります」
この取材のために、たくさんの私物ヴィンテージを用意してくれた彼女。まず最初に着用したのは、ホースプリントのシャツとデニムの組み合わせ。「オレンジとブルーの色合わせがレトロ感あふれるシャツは、私がスカウトされた大切な思い出の地でもある沖縄のヴィンテージショップANKHで購入しました。デニムは以前VOGUE JAPANのYouTube『7Days, 7Looks』でも紹介した、東京の古着屋さんで買ったベルボトム。私は身長がそんなに高くないのでサイズが合うものを見つけるのは簡単ではないのですが、これはジャストサイズで。アンティークのものや古着でサイズがぴったりだと、ご縁を感じますし一生物になるんです」
ブーツは、二階堂のファッションアイコンでもある祖母とパリに旅行に行った際に一緒に買った物だという。「ノーブランドのレザーシューズなのですが、どんなスタイルにも合うのですごくお気に入り。擦れてきたのでそろそろお直しに出そうかなと思っています。レザー製品もなるべくヴィンテージや、社会的責任を全うしているブランドから購入するように心がけています」
まるでパリの蚤の市!19歳のころから通うヴィンテージショップ
VOGUE JAPAN6月号の撮影は、二階堂が10年近く通っているという代官山のCARBOOTSで行われた。「19歳のときに仕事でご一緒したスタイリストさんに連れてきてもらって以来、折に触れて通っています。デザイナーズからノーブランドのものまで、いろんな時代やテイストが混在しているので見ていて面白いんです」
ヨーロッパの蚤の市で一点ものを探すような楽しさがあふれている店内。「オーナーさんがファッションに精通されているので、お話を聞きながらアイテムを選ぶのも楽しいです。そして絶対なにかしら変なものがある(笑)。昔の服や雑貨にはどこか寛容さや余白が感じられますよね。そういうところにもすごく惹かれます」
●SHOP INFO/CARBOOTS
http://carboots.org/
東京都渋谷区代官山町14−5 シルク代官山 1F ☎︎03-3464-6868
営 12:00 ~ 19:00 休 木曜
ヴィンテージ好きのきっかけとなった、故郷・沖縄にあるハイセンスなショップ
前出した沖縄のヴィンテージショップANKHは、二階堂のファッションの価値観を形成した大切な場所だ。「小学生の頃から通っている私のルーツとも言うべきお店です。母の影響で幼い頃からヨーロッパの映画を観て育った私にとって、憧れのアイコンといえばブリジット・バルドーやアンナ・カリーナ、カトリーヌ・ドヌーヴなどのフレンチスターたちでした。その影響で古着も好きだったのですが、ある日たまたま通りかかったANKHのショーウィンドウにエナメルのハイヒールのシューズが飾ってあって。それがあまりに可愛くて、お店に入ったんです。オーナーは小学生の私でも追い出すこともなく、色んなお洋服を手に取って見せてくれました。その日以降、当時周りとなじめない時期もあった私を受け入れて、好きに遊ばせてくれる大切な居場所になりました」
センスよく配置された店内には陽気なアイテムが並び、足を運ぶだけで自分らしいおしゃれをする楽しさを再確認させてくれる。「今でも里帰りの際は必ず立ち寄るのですが、このお店は20年ずっと変わらない。ここに帰るとフラットな気持ちになれるんです」
●SHOP INFO/ANKH
https://www.instagram.com/ankh_mania/?hl=ja
沖縄県那覇市松尾2-11-22 ☎︎ 098-863-0028
営 13:00〜19:00 休 年末年始
Photos: Masami Sano (Fumi Nikaido & CARBOOTS) Hair&Makrup: Aiko Tokashiki Interview& Text: Airi Nakano Editor: Gen Arai