クリステン・スチュワート エッジを効かせて突き抜けた個性を
2020年にクィアであることを公表して以来、LGBTQ+コミュニティのために声をあげるクリステン・スチュワート。2023年4月9日の誕生日には、婚約者のディラン・マイヤーがクリステンに向けてメッセージを投稿し、その愛あふれる内容でも話題を呼んだ。そんな彼女のスタイルは、自身の性自認を表すようなジェンダーレスなヘア&メイクがカギ。
特にメットガラ2023で見せた、前髪を逆立ててサイドをピンでとめたパンキッシュな髪型と、素肌感たっぷりのクリーンなベースメイク、直線アイブロウのコンビネーションは、誰もが見惚れてしまいそうなほどクールな仕上がりだった。
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東京で開催されたシャネルの2022-23年メディエダール・コレクションのために来日したとき、それから2月の第73回ベルリン国際映画祭のときは、赤アイシャドウの囲みアイメイクが印象的だった。短めのバングスもあいまって、辛口ガーリーなニュアンスに。ロックテイストに洗練と品格をまとわせたクリステンのヘア&メイクには、性別を軽々とこえたミクスチャーな美しさがある。愛に満たされた私生活も、彼女のアイコニックな個性を一層光らせている一因なのかもしれない。
リリー=ローズ・デップ 自由な愛に呼応する官能的メイク
主演ドラマ「THE IDOL/ジ・アイドル」が話題沸騰中のリリー=ローズ・デップは、自身のセクシャリティを定義付けしないセクシャル・フルイドのひとり。最近は、自身のInstagramでラッパーの070シェイクとの交際を公表し、キス写真までアップするほどホットな恋愛を楽しんでいる様子。そのプライベートが反映されているのか、5月に開催された第76回カンヌ国際映画祭ではさらに小悪魔的美貌に磨きがかかった姿を披露。ダークシルバーのキャットラインとベージュピンクのリップでベビーフェイスをシックに引き立て、ゆるくウェーブさせたサイドヘアがセンシュアルなアップドゥが彼女の魅力を際立てていた。その眼差しには、恋する情熱を秘めたようなきらめきが宿っている。
カーラ・デルヴィーニュ 揺らぐ心を内包した、真の自分らしさ
自身のセクシャリティを“振り子の揺れのよう”と表現し、過去にバイセクシャル、パンセクシャル、ジェンダー・フルイドであることを公表してきたカーラ・デルヴィーニュ。昨年アルコール依存症の治療のためリハビリ施設に入所していたことをUS版『VOGUE』で明かした彼女だが、今では治療やセラピー、ヨガのおかげでヘルシーな自分を取り戻したという。今年5月にチャリティイベントに出席した際も、バルマンのパンツスーツにスモーキーアイ、ウェット感のある無造作ヘアを合わせ、これぞカーラと思わされるエネルギッシュでグラマラスな姿を見せた。自分らしさに迷い、模索した先にあったのは、何よりも自分を大切にし愛すること。彼女のアップデートされた美しさが、その大事なメッセージを物語っている。
ハンター・シェイファー ピュアな白肌と媚びない眼差し
トランスジェンダーのモデル兼俳優であり、近年はアクティビストとしてZ世代に影響力を与えるハンター・シェイファー。その妖精のようなイノセントな美しさは、ときにハッととするような力強さを我々に見せてくれる。それを象徴していたのが、第95回アカデミー賞授賞式アフターパーティでのこのルック。羽のバンドゥとマキシスカートを纏ったセンセーショナルな着こなしでも話題になったが、ゆったりと下ろしたダウンヘアに、シャンパンゴールドとカッパーレッドでグラデーションをつけたアイメイクもまた彼女の内なる芯の強さを表したようだった。真っ直ぐな眼差しは輝きに縁取られ、揺るぎない美しさとなって発せられる。ありのままの自分を見せながら、社会に向けてLGBTQ+の権利について主張する彼女の勇気そのものも魅力となっているようだ。
ヴァレンティーナ・サンパイオ ワイルドな眉で個性を光らせて
トランスジェンダーモデルとして初めてヴィクトリアズ・シークレットに起用され、男性向けスポーツ雑誌『Sports Illustrated』の水着特集号にも抜擢されるなど、さまざまな快挙を成し遂げてきたヴァレンティーナ・サンパイオ。LGBTQ+コミュニティを代表するモデルのひとりであり、今もあらゆるシーンでその存在感を強めている。第76回カンヌ国際映画祭でもゴージャスなガウンを着こなし、圧倒的な美貌を全世界に発信。レッドカーペットにたたずむその姿は、男性からも女性からも羨望の眼差しを浴びる、まさに性別を超越した美しさだった。
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彼女のエレガントななかに漂うグラマーさは、故郷であるブラジルの風土を彷彿させる。特にふさふさとした太眉は野性味があって、生命力あふれるアイデンティティを感じさせるもの。ジェンダーを含め、自身のルーツそのものも美の源泉なのかもしれない。
テディ・クインリヴァン 無二の輝きでコミュニティに還元
LGBTQ+モデルを積極的に起用するようになった近年のファッション業界で、とりわけオファーの絶えないテディ・クインリヴァン。その美しさはもちろんだが、ジェンダーマイノリティとして政権を批判し、性的暴行歴のある写真家との仕事を拒否するなど、どこにも忖度なく真実を語り続ける姿勢も支持される理由になっている。昨年9月、ビジョン、イノベーション、クラフトマンシップ、人権、環境正義といったサステナビリティに捧げるCNMI主催のアワードに出席した際には、シャイニーなハイライトと骨格を引き立てるシェーディングで、自身の信念を表すようなタフな表情を演出していた。
インディア・ムーア ポジティブな言葉を紡ぐレッドリップ
ドラマ「POSE/ポーズ」で一躍ブレイクし、2019年には『TIME』誌の「世界で最も影響力のある100人」に選出された、ノンバイナリーのトランスジェンダー俳優兼モデルのインディア・ムーア。自身が受けてきたトランスフォビアやいじめの過去から、デビュー前より、LGBTQ+やBIPOC(黒人・先住民・有色人種)コミュニティの地位向上に向けて社会活動を行っている。UK版『DAZED』のインタビューで「ありのままの自分を受け入れ、肯定する強さを知って欲しい」と語っていたインディア。2023年5月に開催された、ホームレスの LGBTQ+の若者を支援するアリ フォーニー センターのガラでも、彼女のタフネスな精神が込められたようなレッドリップが印象的だった。鮮烈な赤をまとった肉感的な唇は、艶やかなゴールドのアイメイクとともに、グラマラスでメロウな美しさを漂わせている。
Editors: Rie Maesaka, Rieko Kosai