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マーティン・スコセッシ監督、レオナルド・ディカプリオのダメ出しで『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』の脚本を方向転換

『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』のマーティン・スコセッシ監督は、レオナルド・ディカプリオの一声で2年もかけた脚本を書き直したそうだ。

Apple Original Films『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』は10月20日より世界同時劇公開、その後Apple TV+にて世界同時配信。

Photo: Apple

アメリカ原住民オセージ族の居住地で起きた連続殺人事件を題材にしたマーティン・スコセッシ監督の最新作『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』。監督と共同脚本を務めるエリック・ロスは、脚本の執筆に2年もの年月を費やしていたが、製作総指揮も務める主演のレオナルド・ディカプリオのダメ出しで一から書き直したそうだ。

「私とエリック・ロスは、事件の捜査のために赴いてきたFBIエージェントの視点で物語を語ろうと話し合っていた」とスコセッシ監督が「アイリッシュ・タイムズ」紙のインタビューで明かす。「2年かけて脚本を書き上げたものの、レオがやってきて『この物語の核心は?』と聞くんだ。オセージ族の人たちとミーティングや食事を重ね、ここにはストーリーがあると思っていた。でもリアルな物語は、FBIの視線で必ずしも外側から描く必要はない。むしろオクラホマの内部から描く方が良いと感じた」

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デイヴィッド・グランによる同名小説を原作とする本作は、1920年代のオクラホマ州を舞台に、真実の愛と残酷な裏切りが交錯するサスペンス西部劇超大作。石油により富を手にした先住民オセージ族の人々が被害者となった実際の残酷な事件をもとに、アーネスト・バークハート(ディカプリオ)とモリー・カイル(リリー・グラッドストーン)のロマンスが描かれる。

当初、まだ黎明期だったFBIから捜査のために派遣されたエージェント、トム・ホワイトの視点で綴られ、ホワイトを主人公としてディカプリオが演じる予定だった。だが新しい脚本では、オセージ族のコミュニティ内から事件を描くことにし、主人公を第一次世界大戦から戻った退役軍人のバークハートに変更。彼はオセージ族の富をかすめとろうとする叔父の指示のもと、オセージ族の内部に侵入する。ディカプリオはバークハートを演じ、ホワイト役には新たにジェシー・プレモンスが起用された。

ディカプリオはUK版『VOGUE』のインタビューで、最初の脚本は「ただ単に物語の核心を突いていると感じなかった」と明かしている。「オセージの物語に浸っていなかった。感情を刺激するようなモリーとアーネストのシーンは、ほんの少ししかなかった。だから、彼らの関係とはいったい何だったのかを追求することにした。複雑で異質で、これまで見たこともないようなものだったら」

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またスコセッシ監督はこう語る。「映画の筋には直接関係ない、オセージ文化を描くシーンについてすごく配慮した。例えば、子どもの名づけや葬儀、結婚式などだ。だから(この映画で)彼らを知ることができる。映画の世界に身を委ねてくれる人は大勢いる。このチャンスを逃す理由はない。今、ほかに何ができる?」

Text: Tae Terai