SNSに溢れかえるボディシェイミング(体型批判)
常に世の視線を浴びるセレブたちに向けられるボディシェイミング(体型批判)は後を絶たない。俳優、モデル、歌手、エンターテイナーたちには数十万人、あるいは数百万人のフォロワーがいるかもしれないが、彼女らが日々受け取るのは応援メッセージばかりでなく、不特定多数のユーザーによる心無い誹謗中傷にも溢れているのだ。
しかし、そんな状況に屈することなく、それらがいかにメンタルヘルスに影響を及ぼすかについてメッセージを発信し続けるセレブたちもいる。ここでは、ボディシェイミングを受けても沈黙することなく、真っ向から立ち向かった9人のスターたちの言葉を紹介しよう。
1. アリアナ・グランデ
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歌手のアリアナ・グランデは、痩せすぎではないかと心配する声がSNS上で上がったことを受け、自身のTikTokを更新。「私の身体のことを心配してくれる人たちがいるみたいですが……こうやって常に視線を浴びせられ、細部まで見られることがどういったことを意味するのか、話したいと思って」と口を開くと、こう続けた。「私たちはもっと他者へ優しくあるべきで、何があっても、人の身体について簡単にコメントすべきではないと思います。健康に見えるとかそうでないとか、大きいとか小さいとか、セクシーかセクシーじゃないかとか......そういったことに気を取られすぎないよう、私たちは努力すべきだと思うんです」。彼女はこの世界にはさまざまな“美しさ”が存在することを強調し、たとえ善意であったとしても、人の見た目について発言する前に考えるべきだと訴えた。
2. ビヨンセ
デスティニーズ・チャイルドの大ヒット曲「ブーティリシャス」は、ビヨンセが体型批判に対抗して作詞したものだったとご存知だろうか。彼女は「(太ったことに対する)コメントを耳にして少し不安になっていたのですが、ある日目が覚めて、自分のことをかわいそうだと思うのはやめようと決意したんです。だからこの曲を書きました」と語っている。「私に与えられたすべてのものを、同じ悩みを抱える人たちをエンパワーするために使おうと考えるきっかけになりました」
3. ポーリーナ・ポリスコワ
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90年代を代表するスーパーモデルのポーリーナ・ポリスコワは、ある男性フォロワーが彼女のインスタグラムに投稿した年齢差別的なコメントをスクリーンショットに取って公開。「この年齢なら、半裸で歩きまわってティーンエイジャーのように振る舞うのではなく、子どもや孫たちと時間を過ごすべき」と述べた彼に対し、彼女は「こういったコメントこそが、私が仕事を続ける理由です」と反撃。彼女はその後、ランジェリーの上にカーディガンを羽織った姿の写真に「#sexyhasnoexpirationdate(セクシーに有効期限はない)」というハッシュタグを添えて、人生を謳歌する58歳の生き様を見せつけた。
4. セレーナ・ゴメス
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これまでに何度も体型批判に反対してきたセレーナ・ゴメス。あるTikTokの動画では、「私はモデルじゃないし、今後もモデルになる予定はない」と発言。持病のループス(全身性エリテマトーデス)の服薬の影響で体重が変動しやすいことにも触れ、こう続けた。「(服薬中は)水太りする傾向があるけれど、それは普通のこと。服薬を止めると、体重が落ちる傾向にある。どんなことであれ、今自分を恥ずかしいと思っている人、そして人知れぬ原因があって悩んでいる人に伝えたいし、励ましたい。あなたは美しくって素晴らしい」
また、水着姿を披露したビデオでは、お腹をへっこませることなく自身の身体美をセレブレートし、ボディポジティブなメッセージを発信した。
5. ニコラ・コフラン
Netflixのドラマ「ブリジャートン家」に出演したニコラ・コフランは、美しいドレス姿の写真に「私の身体について何か言いたいことがあったとしても、どうかそれを私と共有しないで」とキャプションを添えて投稿。「私だって一人の人間。毎日のように送られてくる自分の見た目に関する意見、その重さに私は耐えられません」と、ストレートな気持ちをぶつけた。
6. アデル
5年ほど表舞台から遠ざかっていたアデルが、UK版『VOGUE』の表紙を飾ってカムバックを果たしたのは2021年。そのインタビューの中で、彼女は「(デビューしてから)12年間、人々は私の身体について話してきた」と語り、メディアやファンの厳しい目にさらされてきたことを訴えた。それは痩せる前からずっと続いていたとも明かしたが、彼女は「でも、もうそんなのはどうでもいい。ボディポジティブを訴えるのに太っている必要はない。どんな体型やサイズであってもいい」と一蹴した。
7. リゾ
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ありのままの自分を堂々と表現し続けるアーティストのリゾ。いつ何時も真っ直ぐでぶれない姿勢こそが、彼女が世界中から愛される理由のひとつだ。
しかし、「リゾがライブ中にダイブし、人を殺した」という悪質なデマが流されていると知ったとき、彼女はそれを聞き流すことができなかった。「インターネット上で不快な誹謗中傷はたくさん見てきたけど、一つ野放しにできないのは、私がコンサートでステージダイブをして人を殺したという噂。まず、その噂は嘘。私は人生で一度もダイブしたことがないし、それに、人殺しって? この私に汚名を着せようって?」と怒りをあらわにした。
8. フローレンス・ピュー
ヴァレンティノ(VALENTINO)の2023年秋冬オートクチュールのショーに出席するため、ピンクのシアードレスを纏った俳優のフローレンス・ピューは、まさか自分が「下品な男たち」から露出に対する非難を浴びるとは思いもしなかった。
彼女は「なぜそんなに胸を怖がっているの? 小さい? 大きい? 左? 右? ひとつだけ? もしかしてひとつもない? 何をそんなに恐れているんですか?」と問いかけ、「私の胸や体の大きさについて、声高く発言することに満足するなんて、あなたに一体何があったんだろうって思ってしまう」と全く理解できない様子を見せた。さらに、「(自分の)体の複雑さ、自分を自分らしくしているすべてのものと折り合いをつけた」と書き込んだ。
9. マドンナ
今年初めのグラミー賞で、メディアがマドンナのスピーチの内容ではなく、その“顔”に注目したとき、彼女は黙ってはいなかった。「世界は45歳を越えた女性を拒否し、強い意思を持って懸命に働き、大胆であり続ける女性がいたら、罰せねばならないという気持ちにさせます」と嘆くと、彼女はさらにこう続けた。「私は再び、エイジズム(年齢差別)とミソジニー(女性蔑視)の不快な炎に包まれました。私はこれまでクリエイティブ上の決断や自分の見た目、服装について、謝罪したことはありませんし、これからもしません。キャリアの初期から、メディアに貶められてきましたが、これは試練であり、私の背後に控えるすべての女性が今後もっと生きやすくなるように、喜んでこれに挑むつもりです」
Text: Hannah Coates Adaptation: Motoko Fujita
From VOGUE.CO.UK
