ムッシュ・イヴ・サンローランは生前、「自分がブルージーンズを発明したかった」と語ったと言い伝えられている。「表情豊かで、奥ゆかしい。センシュアルでありシンプル。私が服で表現したいすべてが詰まっている」と彼が評したデニムが誕生してから150年以上が経つが、その魅力と人気は衰える気配がない。
デイリー使いされることが多いジーンズだが、スタイリング次第では瞬時にワンランク上の装いになる。実際に2023-24年秋冬コレクションでも、ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)はローライズデニムにタンクトップというスタイルを、グッチ(GUCCI)はバギージーンズとストライプシャツのルックを披露。一見何の変哲もないが、デニムをスマートに取り入れたものが話題になった。
しかし、注目すべきはそのディテールだ。ボッテガ・ヴェネタのジーンズは、実は薄いレザーをデニム風に仕上げた一本。グッチはというと、何気ないシルエットのデニムを洗練されたアクサセリーでモードに昇華していた。
また、パリ郊外にあるシャンティイ城で開かれたヴァレンティノ(VALENTINO)の2023-24年秋冬オートクチュールショーでは、オートクチュール仕様のデニムが登場。モデルのカイア・ガーバーがまとっていたシンプルなルックは、オーバーサイズの白シャツ、シルバーのシューズ、そして無数のガラスビーズが刺繍されたジーンズ風のトロンプルイユのトラウザーズで構成されていた。もともと労働者の作業着だったジーンズは、ファッションの最高峰の舞台で注目されるまでになったのだ。
たとえショーのアイテムに手が出せなくても、スタイリングをほんの少し工夫すれば、手持ちのデニムをランウェイルック級に格上げすることができる。シックなセットアップから主張のあるトップにジーンズといった定番コンビまで、ファッショニスタのストリートスタイルを参考に、新しいコーデに挑戦してみては。
1. ダークカラーのセットアップ×ゴールドジュエリーでシックに
今年7月、パリで行われたスキャパレリ(SCHIAPARELLI)の2023-24年秋冬オートクチュールショーに出席したファリーダ・ケルファは、メゾンの大ぶりなボタンが印象的なデニムセットアップ姿で登場。80年代のファッション界きってのミューズ、そしてブランドのアンバサダーも務めていた彼女は、重厚感あるゴールドのジュエリーでシックな印象プラスし、パワフルにまとめた。
2. ジーンズ×スカートの重ね着スタイルは、プラットフォームシューズでバランスを
同じくパリで開催されたシャネル(CHANEL)の2023-24年秋冬オートクチュールショーでは、デジタル・インフルエンサーのヘレナ・ボルドンをキャッチ。ロゴがアクセントのデニムに、メゾンの代名詞であるカメリアモチーフとツイードが目を引くドレスのレイヤードコーデを披露した。タンクトップ部分のキュートな柄とカラフルなツイードがポイントのルックは、プラットフォームシューズで全体のバランスを取り、レイヤードながらも軽やかな印象。
3. 白シャツ×ジーンズ×ヒールの王道コンビは、変形デニムでひとひねり
モデルのティナ・クナキーは、アライア(ALAÏA)のタートルネックに、ウエストタイをあしらったクロップドシャツ、ラウンドデニムパンツと今季人気のフィッシュネット素材のヒールといったひとひねりあるシンプルなルックで、メゾンの2023-24年秋冬オートクチュールショー会場に登場。シャツとシューズのシャープなラインと、変形デニムの柔らかな曲線のコントラストが魅力的なコーデに仕上げた。
4. 遊び心あるデコレーションデニムジャケットは、テーラードパンツでドレスアップ
セーヌ川沿いで発表された、シャネルの2023-24年秋冬オートクチュールコレクションに出席したエディターのヴェロニカ・ハイルブルンナー。主役のカラフルな刺繍が施されたシャネルのデニムジャケットをブラックのテーラードパンツでフォーマルに昇華しつつ、足もとにはデニムサンダルを選び、さりげなさとほどよい抜け感を演出。
5. 派手めトップ×バギーデニム×ポイントテッドトゥパンプスでエッジを効かせて
デュッセルドルフのストリートでキャッチされたデジタル・クリエイターのジョエル・フアナは、バギーデニムをシルバーの装飾が光るトップと蝶のステートメントベルトと合わせ、Y2Kスタイルを意識したルックを完成させた。デニムのポインテッドトゥパンプスでさらにエッジを効かせたコーデは、カジュアルなデニムを華やかにドレスアップ。
Text: Joy Montgomery Adaptation: Anzu Kawano
From VOGUE.CO.UK