「プロエンザ・スクーラー」のエレガント・パンクな美学は、ダーク・ロマンティックとパワフルな女性像との融合がキモ。メイクなら、極太のまつ毛のスパイダーアイラッシュやスモーキーなチャコール・アイライナーがその代表例だ。棒状のポニーテールは、長いレザーで鞭状に編み込まれ、ラッカースプレーで固めてアレンジしたもの。
「プロエンザ・スクーラー」のヘアスタイリングを手がけたグイド・パラオは「80sのムードが戻ってきて嬉しい! 私もこの時代に育った世代の一人ですから。80年代の記憶は残っています。モデルなど今の若い人たちは生まれる前のことですから、パワフルな女性像や大胆で楽しげなルックを通して、この時代の良さを初めて理解しているのではないでしょうか」とコメント。80sムードのスタイルは、そのほかにも「ラグ & ボーン」、「ヴェラ・ウォン」、「トムフォード」、「3.1フィリップリム」、「ヘルムート ラング」、「アール・サーティーン」など多くのブランドで見られた。
ワーキング・ガールなルックは、ボリューム感を活かした大胆な髪型が特徴だ。職場からナイトアウトへ、ヘアスタイルを瞬時にチェンジできるイージー・トゥ・ゴーなアレンジが共通点。自信と立ち振る舞いがこのトレンドルックの重要なエッセンスになることも忘れずに。このスタイルは映画『ワーキング・ガール』(1988年)を現代風にアレンジしたもので、メラニー・グリフィスやシガニー・ウィーバーのようなピーチ・スキン、それに完璧なメイクアップや細部まで行き渡ったケアにより完成される。
「これは自信に満ちた働く女性のためのルックです」と、「レベッカ ミンコフ」のヘアスタイリスト、ジャスティン・マルジャンは話す。ワーキング・ガールにインスピレーションを得たルックは、ほかにも「ブランドン マックスウェル」、「ガブリエラ ハースト」、「ジョナサン シンカイ」、「シエス マルジャン」、「キャロリーナ ヘレラ」などにお目見え。
このアレンジでは、ヘアスプレーが欠かせないフォームを長持ちさせるヘアスプレーが、ラフに乱れさせた巻き髪をさりげなくキープしてくれる。Trend 1の「プロエンザ スクーラー」のように、メイクアップはガンメタルグレーの目もとをアクセントにシンプルに押さえるのが正解。
2020年春夏シーズン、「もっと、もっと」と盛る流れが強くなっていることを、NYファッションウィークが証明していると言えよう。「トモ コイズミ」をはじめとする、話題性のあるいくつものショーのバックステージで、キラキラ、ギラギラなどさまざまな輝きが全開だ。リゾやケイティ・ペリーといったセレブリティ、それにドラマ『ユーフォリア』の影響によるものではないだろうか。「ザ・ブロンズ」、「ジェレミー・スコット」、「パイアー・モス」、「ラクアン・スミス」といったブランドがその好例だ。
「いいですか、ファッション界では数十年もグリッターを使ってきているんです。特にファッションと音楽のコラボレーションにおいて、キラキラが常に私たちのインスピレーションの大きな部分を占めています。良質のグリッターが輝く瞬間は、飽きることがありません。それはファッション界に身を置く私たちの歴史の一部であり、また、それがどこかへ行ってしまうこともないでしょう」。「トモ コイズミ」のバックステージをその凄腕と情熱で支える、メイクアップアーティスト、パット・マクグラスは、そう話す。
マクグラスによると、自身が手がけるブランドのアイシャドウパレット「Pat McGrath Mothership VI Eyeshadow Palette in Midnight Sun」でこのルックを再現できるそう。「最後にスワロフスキーのクリスタルを散りばめて!」
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絵画的に表現するアーティなピンクには、メイクアップアーティストの巧みな才能が如実に表われる。ウェアラブルでエキサイティングな美がすぐに手に入る、伝統的な飾らないシェード。「クリスチャン・シリアノ」や「オスカー・デ・ラ・レンタ」のようなブルーやグリーンといった対照色との組み合わせや、「ヘルムート ラング」の目尻を跳ね上げたネオンピンクのアイラインなど、個性豊かなピンク使いが見られた。
また、匠の技が光る、「ジェイソン・ウー」の、ピンクとサフランイエローのグラデーションも美しい。トレンドの入門編としては、まぶたにシアーピンクのきらめきを施したり、ハイピグメントのピンクをアクセント使いするのがおすすめ。
Text: Emma Strenner