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NYファッションウィーク速報! キーワードは80s、グリッター、アーティ・ピンク。【2020年春夏コレ・ビューティーレポート】

すっぴんメイクのトレンドは一旦、忘れよう! 2020年春夏NYファッションウィークでは、鮮やかなカラーと1980年代の大胆さに満ちたヘア&メイクが花盛り。「トモ コイズミ」の大きな円錐形のヘアアレンジや、「ヘルムート ラング」のエレガントに再解釈されたパンク風メイクといった、“盛り”ビューティーが多く見られた。これまでのシーズンのミニマリズムを脱ぎ去り、明るさや個性的な表現を打ち出して。
Trend 1:エレガントに進化したパンクスタイル。

2020年春夏プレタポルテコレクション「プロエンザ スクーラー」より。Photo: Jamie Stoker

プロエンザ・スクーラー」のエレガント・パンクな美学は、ダーク・ロマンティックとパワフルな女性像との融合がキモ。メイクなら、極太のまつ毛のスパイダーアイラッシュやスモーキーなチャコール・アイライナーがその代表例だ。棒状のポニーテールは、長いレザーで鞭状に編み込まれ、ラッカースプレーで固めてアレンジしたもの。

2020年春夏プレタポルテコレクション「トム フォード」より。Photo: Paul Morigi/Getty Images

「プロエンザ・スクーラー」のヘアスタイリングを手がけたグイド・パラオは「80sのムードが戻ってきて嬉しい! 私もこの時代に育った世代の一人ですから。80年代の記憶は残っています。モデルなど今の若い人たちは生まれる前のことですから、パワフルな女性像や大胆で楽しげなルックを通して、この時代の良さを初めて理解しているのではないでしょうか」とコメント。80sムードのスタイルは、そのほかにも「ラグ & ボーン」、「ヴェラ・ウォン」、「トムフォード」、「3.1フィリップリム」、「ヘルムート ラング」、「アール・サーティーン」など多くのブランドで見られた。

Trend 2:シティで輝くワーキング・ガール。

2020年春夏プレタポルテコレクション「ブランドンマックスウェル」より。Photo: Victor VIRGILE/Gamma-Rapho via Getty Images

2020年春夏プレタポルテコレクション「ガブリエラ ハースト」より。Photo: Victor VIRGILE/Gamma-Rapho via Getty Images

ワーキング・ガールなルックは、ボリューム感を活かした大胆な髪型が特徴だ。職場からナイトアウトへ、ヘアスタイルを瞬時にチェンジできるイージー・トゥ・ゴーなアレンジが共通点。自信と立ち振る舞いがこのトレンドルックの重要なエッセンスになることも忘れずに。このスタイルは映画『ワーキング・ガール』(1988年)を現代風にアレンジしたもので、メラニー・グリフィスやシガニー・ウィーバーのようなピーチ・スキン、それに完璧なメイクアップや細部まで行き渡ったケアにより完成される。

2020年春夏プレタポルテコレクション「レベッカ ミンコフ」より。Photo: Monica Schipper/Getty Images for TRESemme

「これは自信に満ちた働く女性のためのルックです」と、「レベッカ ミンコフ」のヘアスタイリスト、ジャスティン・マルジャンは話す。ワーキング・ガールにインスピレーションを得たルックは、ほかにも「ブランドン マックスウェル」、「ガブリエラ ハースト」、「ジョナサン シンカイ」、「シエス マルジャン」、「キャロリーナ ヘレラ」などにお目見え。

このアレンジでは、ヘアスプレーが欠かせないフォームを長持ちさせるヘアスプレーが、ラフに乱れさせた巻き髪をさりげなくキープしてくれる。Trend 1の「プロエンザ スクーラー」のように、メイクアップはガンメタルグレーの目もとをアクセントにシンプルに押さえるのが正解。

Trend 3:ダイアナ妃へのオマージュ。

2020年春夏プレタポルテコレクション「ロダルテ」より。Photo: Gorunway.com

トリー バーチ」、「アリス + オリビア」、「ロダルテ」、「カイト」、「ジマーマン」などで、イギリス王室の80年代スタイルアイコンであるダイアナ妃へのオマージュが見られた。特にフィーチャーされたのが、前髪にボリュームをもたせ、サイドに流して固定させた、彼女の初期のややクラシカルなルック。メイクアップはマスカラで少々目もとを際立たせる程度に引き算して。

2020年春夏プレタポルテコレクション「トリーバーチ」より。Photo: Stephen Lovekin/Shutterstock

気品と高級感をキープしつつ、宝石やパールで装飾されたヘアアクセサリーで現代風に。メイクは少量のクリームチークで艶っぽく、仕上げに潤いミストを軽く一振りし、肌に若々しい輝きをもたらそう。

Trend 4:グリッター礼賛。

2020年春夏プレタポルテコレクション「ジェレミー・スコット」より。Photo: Jamie Stoker

2020年春夏プレタポルテコレクション「パイアー・モス」より。Photo: Fernanda Calfat/Getty Images

2020年春夏シーズン、「もっと、もっと」と盛る流れが強くなっていることを、NYファッションウィークが証明していると言えよう。「トモ コイズミ」をはじめとする、話題性のあるいくつものショーのバックステージで、キラキラ、ギラギラなどさまざまな輝きが全開だ。リゾやケイティ・ペリーといったセレブリティ、それにドラマ『ユーフォリア』の影響によるものではないだろうか。「ザ・ブロンズ」、「ジェレミー・スコット」、「パイアー・モス」、「ラクアン・スミス」といったブランドがその好例だ。

2020年春夏プレタポルテコレクション「ラクアン・スミス」より。Photo: Fernanda Calfat/Getty Images for NYFW: The Shows

「いいですか、ファッション界では数十年もグリッターを使ってきているんです。特にファッションと音楽のコラボレーションにおいて、キラキラが常に私たちのインスピレーションの大きな部分を占めています。良質のグリッターが輝く瞬間は、飽きることがありません。それはファッション界に身を置く私たちの歴史の一部であり、また、それがどこかへ行ってしまうこともないでしょう」。「トモ コイズミ」のバックステージをその凄腕と情熱で支える、メイクアップアーティスト、パット・マクグラスは、そう話す。

マクグラスによると、自身が手がけるブランドのアイシャドウパレット「Pat McGrath Mothership VI Eyeshadow Palette in Midnight Sun」でこのルックを再現できるそう。「最後にスワロフスキーのクリスタルを散りばめて!」

Trend 5:多彩なピンク。

2020年春夏プレタポルテコレクション「ヘルムート ラング」より。Photo: Jamie Stoker

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絵画的に表現するアーティなピンクには、メイクアップアーティストの巧みな才能が如実に表われる。ウェアラブルでエキサイティングな美がすぐに手に入る、伝統的な飾らないシェード。「クリスチャン・シリアノ」や「オスカー・デ・ラ・レンタ」のようなブルーやグリーンといった対照色との組み合わせや、「ヘルムート ラング」の目尻を跳ね上げたネオンピンクのアイラインなど、個性豊かなピンク使いが見られた。

2020年春夏プレタポルテコレクション「ジェイソン・ウー」より。Photo: JP Yim/Getty Images for NYFW: The Shows

また、匠の技が光る、「ジェイソン・ウー」の、ピンクとサフランイエローのグラデーションも美しい。トレンドの入門編としては、まぶたにシアーピンクのきらめきを施したり、ハイピグメントのピンクをアクセント使いするのがおすすめ。

Text: Emma Strenner