BEAUTY / EXPERT

一緒に生きていくための鍵は、多大なる愛とセラピスト。【カップルのパーソナルな愛の話】

世界各国、多様なセクシュアリティーのカップルを独占取材。連載2回目はベルリンに住む日本人。アーティストとセックス・セラピスト、異なる世界で羽ばたくふたりの女性に、恋愛においての関係性をインタビューする。

ふたりで解決できないことを受け入れ、第三者の目を信頼する。

ベルリンを拠点に、アイデンティティをテーマにした立体作品やアニメーションなどを制作するMakiさん(写真左)は、2020年、ノンバイナリー、Xジェンダーであることを公表。「セックス・ワーカーの経験を生かして、自己受容の手段としてのセックスを広めたい」と話すセックス・セラピストのYuunaさん(写真右)。

Q. 二人はお互いのどんなところに惹か れたのでしょうか。 

ユウナ「正直、最初は女性の体に興味があって。男性としか経験がな かったので、京都瞑想センターで Makiと初めて出会ったとき、実は(新しい体験の)突破口としていい相手かもと思ったんです。そうしたら、すごく奥深 い人だったので、『大好き! 離れない!』 となっちゃいました」 
マキ 「瞑想に来てるのに寝坊したりとユウナは不真面目な行動をして目立ってて (笑)。どんな人なのか気になって、最終日に話をしたら、複数の男性とデートする“パパ活”を仕事にしてると言うから、 まさか結婚するなんて想像もしてませ んでした。私にとって、Yuunaは国籍やジェンダーを飛び越えた宇宙人。いろんな既成概念を壊してくれるし、ピュアな視点でアドバイスをくれるから、結果的に頼りになる」
ユウナ「全てが正反対だよね。私が世間に順応するために、一緒にいてくれているみたい」

 Q. ベルリンでの生活は順調ですか?

ユウナ「英語もままならずに、ベルリンについて行ったから、おんぶに抱っこで大変な思いをさせたよね。全てにおいて頼り切ってしまった」 
マキ「お互いにね。一時帰国で出会った当時とは関係性が変 わって、私が母親みたいになってしまっ て。最近は、セラピストに入ってもらい、 パートナーに戻る練習をしてます」 

Q. 二人の関係を続けていく上で、欠かせないものってありますか? 

ユウナ「多大なる愛」
マキ「それに加えると、 セラピストの存在も大切です。第三者 の視点で素直になれるし、美容室より頻 繁に通っていると思います」

2020年夏、二人は住民票を横須賀市に移し、パートナーシップ宣誓証明書を取得。現在、同性婚の手続きがシンプルなデンマークで結婚相当証明書を申請中だとか。

DATA
マキ・イシイ/アーティスト、39歳
ユウナ・スズキ/セックス・セラピスト、28歳
▶︎住んでいる都市:ベルリン ▶︎ 交際期間:約2年4カ月

Photos: Yusuke Abe Interview, Text: Tomoko Ogawa Editor: Toru Mitani

『VOGUE JAPAN』2022年8月号「愛を膨らませる、5組のラブ・ストーリー。」転載記事。