深く眠れた朝は気力が充実。心の安定には質のいい睡眠が欠かせない。「とはいえ健康な人でも、何時に寝よう、何時間寝なくちゃ、と焦ると、眠りにくくなるもの。寝る時間ではなく、毎日起きる時間を一定にして朝型の体内リズムを作り、睡眠サイクルを整えて。寝る前にベッドの中で、今日は頑張った、と自分を褒めるのも忘れずに」と説明してくれたのは、精神科医、心療内科医の後藤先生。さらに、スマホ依存も睡眠の大敵だという。「SNSの不確かな情報に不安を煽られたり、スピード感に振り回されると、神経が昂って安眠の妨げに。特に気持ちが弱っているときは、SNSやLINEなどの情報源と距離を置くことも大切です。考えてもどうにもならない未来のことは考えず、今・ここ・自分に集中して」
コロナ禍で心療内科を受診する人は右肩上がり。「リモートワークでオンとオフが切り替えにくい、生活リズムにメリハリがない、という声も多く聞かれます。朝は、活動のスイッチをしっかり入れたいので、パジャマから着替えて髪やメイクを整え、駅までの想定で10分程度、余裕があるときは30分ほどウォーキングをしてから始業しましょう。たったそれだけでも“続けること”そのものが自信に繋がり、朝日を浴びながらリズム運動をすることで、幸せホルモンであるセロトニンの活性化にも役立ちます」。リモートワークは人との交流が希薄になりやすいので、メールやLINEだけでなく、顔を見て声が聞けるコミュニケーションも意識して。
どんな人にも長所と短所、得意なことと苦手なこと、好きな部分と嫌いな部分がある。「自己肯定感が低いと、悪いところ、できていないところばかり目について、自分のいいところに気づけなくなりがちです。そんなときは、信頼できる友人や家族3人に、私のいいところって何? と聞いてみてください。自分ではコンプレックスだったところが周りからは魅力に感じられていたり、意外な答えが見つかるはずです。そしてそのチャームポイントをメモに残し、心が折れそうなときに見返せば自分を支えるお守りになるはず」。容姿や肌に自信が持てないなら、化粧品の力を借りたり、自分の美学の許容範囲内で美容医療を利用したりして改善していくのも手かもしれない。
「人は不安になると無意識に猫背になり俯いてしまう。逆に胸を張り、背筋を伸ばして腰に手を当てるパワーポーズをとると、呼吸が深く、ポジティブなマインドに」(後藤先生)。思えば、愛さんの姿勢はパワーポーズそのもの。愛さんが考える美しい立ち方は「内転筋に力を入れ、お尻の穴を締め、丹田を意識して引き上げます。その引き上げた縦のラインが胸の間を通って首を伸ばし頭の先まで突き抜けるイメージ。アゴは自然に引き胸を開き肩の力を抜く」。どうしてもネガティブから抜け出せないときは?「花のエネルギーを閉じ込めたエッセンスを用いる自然療法、バッチフラワーレメディも選択肢のひとつ。コンサルテーションで選んだボトルでセルフケアできます(1回 ¥10,000)」(後藤先生)
個人差があり、自己肯定感の高さは人ぞれぞれ。決して測ることはできない。しかし、このような小さな一歩から改善していくのもいいかもしれない。
話を聞いたのは……
後藤牧子
精神科医、心療内科医。産業医科大学卒業。2019年に「九段こころのクリニック」を開業し、現在に至る。病院での診察以外では、20社以上の企業で産業医を務め、薬だけではなく、エネルギーヒーリングやバッチフラワーレメディなどのメニューで心身をサポートしている。
Interview & Text: Eri Kataoka Editor: Toru Mitani Illustration: Tomoko B. Iwawaki
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