1. NOEUD.TOKYO(東京・永田町)
持続的な「食の環(わ)」をテーマに、種や土、生産者、地域、自然環境、そして食べる人の健康までも考えながら、食材、メニュー、空間のすべてでサステナビリティを表現している「ヌー.トウキョウ(NOEUD.TOKYO)」。「ヌー」はフランス語で「繋がり」を意味する。地産地消・旬産旬消を意識し、食材の育つ環境を直接目で見て肌で感じ、生産者らと真摯に向き合う。だからこそ、生産者からはその日に売れ残ったものを直接仕入れることもあり、その時々で料理を柔軟に変化させることも、ロス食材の削減に繋がっている。内装には再利用可能な資材や廃材を用いているほか、上質な土壁からは微生物の鼓動を感じる。
2. haishop cafe(神奈川・横浜)
食を通じて環境問題やフードロスなどの社会課題の解決を目指す、横浜・みなとみらいの「ハイショップカフェ(haishop cafe)」。メニューの約80%はヴィーガン食となっており、大豆ミートなどの代替タンパク質を使用した料理を提供している。食材の約75%は半径80㎞以内で採れた地産食材を使い、国産飼料のみで飼育された肉類や平飼い卵などを使用。コーヒー、チョコレート、香辛料などはフェアトレードに限定し、その取り組みは多面的だ。毎週末には規格外を含む無農薬野菜を販売するマーケットも開催。サステナブルな取り組みを推進する飲食店を称するFood Made Good Awards 2021で大賞を受賞。
3. Florilège(東京・外苑前)
2022年の「アジアのベストレストラン50」で堂々の3位を獲得し、いまや日本を代表するレストランのひとつ「フロリレージュ(Florilège)」は、サステナビリティの先駆者だ。シェフの川手寛康は、かねてからフードロスなど食の課題に危機感を抱き、出荷できない規格外の野菜を生産者から直接買い取ることを続けてきた。また、日本では市場に出回らない子牛を産んだ経産牛を再肥育するなどして新しい価値を加え、その魅力を最大限に引き出した「サステナビリティ牛」という和牛料理を生み出した。こだわりは料理だけでなく、15年にオープンした店舗の壁や床にはリサイクル材を用いている。
4. BOTTEGA BLUE(兵庫・芦屋)
食品廃棄ゼロを実現する、兵庫県芦屋市のイタリアンレストラン「ボッテガブルー(BOTTEGA BLUE)」は、日本サステイナブル・レストラン協会の国内第一号加盟店。魚の骨やアラ、貝殻や野菜の種や切れ端など、美味しい食材を最後まで使い切り、洗練された味わいを追求していくうちに、自然とゼロウェイストに辿り着いたという。また、野菜の捨てられてしまう部分で作ったベジブロスの出汁ガラは、最終的にはコンポストで堆肥化し、店舗横の菜園へと循環させている。また再生可能エネルギーを100%使用し、プラスチック製品は一切使用しない。その徹底ぶりから、私たち個人も学べることは多そうだ。
5. TONKATSU.JP 表参道(東京・表参道)
オーナー夫妻が「サステナブルな飲食ビジネスのかたちを模索したい」と昨年秋にオープンした「TONKATSU.JP 表参道」。「個性豊かな銘柄豚と生産者の想いをつむぎ」「心までもおいしく」をコンセプトに、エコフィード(食品残渣等を利用して製造された飼料)やアニマルウェルフェアを重視する国内畜産農家の銘柄豚を取り扱う。4月からは店内で、生産者と消費者(顧客)をつなぐイベントをスタート。初回は、北海道・十勝の広大な大地で「エルパソ 豚牧場」を営む養豚家と、店でも使用する海塩を与那国島で全過程手作りする生産者が参加し、生産業の裏側を語る。
6. ARMANI / RISTORANTE(東京・銀座)
2021年3月よりフードロス食材を取り入れたコースメニューを提供している「アルマーニ/リストランテ(ARMANI / RISTORANTE)」。株式会社FOOD LOSS BANKの協力のもと、新型コロナウイルスの影響により出荷先を失った食材や規格外野菜のほか、サステナビリティに取り組む生産者から食材を調達。アミューズからデザートに至るまで、全メニューにおいて「食の持続可能性」が基本となっている。今年の4月よりスタートするコース第3弾は、北陸食材を主役として使用し、リゾットの米「れすきゅうまい」は、耕作放棄地の再生や農業の活性化に取り組む若手農業従事者の支援につながっている。
7. NARISAWA(東京・青山)
「世界のベストレストラン50」に13年間選ばれ続けているイノベーティブ里山キュイジーヌ「ナリサワ(NARISAWA)」は、コロナ禍で営業に制限がかかる中、飲食店を支える農家や漁師をはじめ、それらに関わるすべての人への感謝を込めて、「ありがとうBENTO」を販売している。株式会社FOOD LOSS BANKとコラボし、見た目だけで廃棄されてしまう食材なども用いており、内容も日によって変化することも魅力の一つだ。一流シェフの味を自宅で楽しめるお取り寄せグルメとしても人気のお弁当。深刻化する食の課題に目を向け、口にするものを選ぶことも、今すぐできる大切なアクションだ。
Text: Yuka Kumano, Yaka Matsumoto, Mina Oba