お風呂場や洗濯槽などに生える頑固な黒カビを一掃したいときに頼りになるのが、オーストラリア原産の精油「ティーツリーオイル」だ。ティーツリーは天然の殺菌力が高く、1928年にペニシリンが誕生する前からメディカルハーブとして広く使われていたと言われている。ある研究論文によると、黒カビやピンクカビだけでなく白癬菌や黄色ブドウ球菌に対しても高い制菌作用があるという。
使い方も簡単。オイルを原液のまま綿棒につけてタイルの隙間などを掃除し、1時間ほど放置したのちに水道水で洗い流すと、カビを取り除くことができるという。また、洗濯槽のカビには、原液を10滴ほど垂らして洗濯するとよい。より広範囲での掃除には、スプレーボトルに200ccの水道水とティーツリーオイル小さじ2杯ほど入れると使いやすい。シンクやエアコン、窓枠などの掃除をしたい部分の水気を拭き取り、スプレーを吹きかけ、少し時間を置いたのちお湯で洗い流したり水拭きをする。普段から、カビが生えやすい場所に定期的にスプレーすると、より効果的に防カビ対策が期待できるという。
次にやっかいなのがコンロや換気扇の油汚れだ。そこで試してもらいたいのが、ホワイトビネガーと重曹のコンビネーション(参考までに、重曹やクエン酸による掃除術は以前紹介した記事に記載している)。まず、油汚れには埃がたくさん混ざっているため、重曹の粉を汚れている部分に振りかけ、濡れたスポンジやタオルで汚れを落とす。次に、ホワイトワインビネガーと水を1:1の比率でスプレーボトルに入れ、汚れに吹きかけて5~10分ほど静置。最後に乾いた布で拭いたら完了。それでも落ちない場合は、親油性の力を使って植物油で対抗しよう。布巾やキッチンペーパーに植物油を垂らし、汚れの上に数分置いて馴染ませたあと拭き取る。そのあと、ホワイトビネガーをスプレーして乾拭きしよう。
環境にやさしい大掃除を目指したいけれど、汚れを包み込んで取り除くタイプの洗剤は手放せない……そんな人におすすめなのは、環境配慮型洗剤でおなじみの「ecostore」から発売されている、濃縮タイプのリフィル液だ。500mLのスプレーボトルに、ガラスボトルに入った1本50mLの濃縮液と水を450mL混ぜると掃除用洗剤の出来上がり。シトラスが香るバスクリーナーやマルチクリーナーのほかに、ガラスグリーナーは窓や液晶テレビの掃除に大活躍しそうだ。
また、B-corp認証を受けているアメリカのブランド「Blue Land」は、リフィルを前提とした水に溶かすタイプのウォーターレスなタブレット洗剤を扱っている。包装は完全にプラスチックフリー。もちろん、大気汚染の原因となる揮発性有機物質(VOC)やパラベン(防腐剤)、漂白剤などは含まれていない。窓や鏡の水垢を落とすクリーナーなどが一式揃っている「Clean Suit Kit」があると便利そうだ。
また、排水管の臭いが気になるという人に試してもらいたいのが、環境大善株式会社の「きえ〜る」だ。会社がある北海道は酪農が盛んだが、牛の糞尿による水質汚染や悪臭が問題となっていた。そのソリューションとして採用されはじめたのが、牛の糞尿を発酵・培養し、臭いのない液体にしてから廃棄する方法。その液体が「きえ〜る」の原液で、アンモニア臭や有機物の腐敗臭といった悪臭だけを消す効果をもっているという。つまり、花や果物のいい香りは消さずに、イヤな臭いの根本をだけを断つ仕組みだ。もちろん、100%天然成分の消臭液であるため、地球環境や人体に無害。排水管用の使い方は簡単で、200mLを排水口に流し込み、数時間放置して洗い流すだけ。ほかにも、透明液タイプはペットやリビング、キッチンの消臭など、用途別に使いやすいスプレータイプや置き型の「きえ〜る」もある。香りではごまかせない臭いと戦っている人は試す価値あり。まさに、持続可能なかたちで地球の循環を実現するプロダクトだ。
Text: Mina Oba