全国地球温暖化防止推進センターによると、各家庭から排出される二酸化炭素の排出量は、家電や照明の利用等に次いで車の利用が2番目に多く、全体の2割を占めているという。言わずもがな、環境のことを考えると車よりも自転車や公共交通機関を使うことが圧倒的にエコだ。実際にどれだけ二酸化炭素排出量を削減できるか確認してみよう。
まず、二酸化炭素排出量ゼロの徒歩もしくは自転車利用は、当然何よりも環境に優しい。スマートサイクルライフを推進する北九州市の試算によると、片道15km(往復30km)の自転車通勤を20歳から定年までの40年間続けると、自家用車に比べて50トンも二酸化炭素の排出量を削減できるという。また、5キロ圏内であれば、乗用車や電車などでの移動に比べ、自転車が最も短時間で目的地に到着できるという別の調査報告もある。健康面においても、適度な運動は脂肪の燃焼や筋力アップなどに繋がるだけでなく、朝のサイクリングは脳を活性化し、夜はクールダウンしてリラックス効果が期待できる。つまり、環境・効率・健康の面で、良いことずくめだ。
自転車の次に環境に優しいのが、電車やバスといった公共交通機関の利用。1人あたり1キロ移動するごとに、車は133gの二酸化炭素を排出するのに対し、鉄道は18g(約85.5%減)、バスは54g(約59.4%減)と圧倒的に少ない。都市部と郊外では公共交通機関のインフラ整備に違いがあるため、利便性の面で車利用を選ばざるを得ないケースもあるだろうが、環境性能が高い車を選ぶことで、環境への負荷を抑えることができる。昨年、映画『007 / ノー・タイム・トゥー・ダイ』(2019年)でジェームズ・ボンドがアストンマーチンの電気自動車を運転して話題となったが、ハリウッドスターの間では、エコカー利用がすでに主流だ。
所有せず共有する、が世界標準に。
また、必要な時だけ使えるカーシェアリングという選択もエコだ。マイカーがあると、どこへでも車で行きがちだが、カーシェアにすると車の利用回数が減り、走行距離も短くなる。結果として、ガゾリンの使用量も少なくて済み、二酸化炭素排出量を大幅に削減することができる。さらに、近年カーシェア用に用意されている車は環境性能が高く、燃費が良いものが多いというのも嬉しい。
また、日本は世界に比べるとシェアリング後進国と言われるが、シェアサイクルも街中で多く見かけるようになった。観光促進のために導入している自治体も多いが、例えば都内から電車で1時間ほどの鎌倉では、シェアサイクルが主流の移動手段となりつつある。市内に多数点在する寺社仏閣めぐりも快適にできるし、海岸沿いをサイクリングしてみるなど、楽しみ方や行動の幅も広がる。また世界に視点を移すと、シェアサイクル先進都市と言えるパリやロンドン、ニューヨークなどでは、一台あたり一日に4~6回も利用されており、電車やバスに並ぶ「市民の足」として定着しているようだ。
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Text: Mina Oba
