「スタンスミス」の無地の清潔感は社会の鏡となり、環境に配慮した新たなアイコンに。
1971年に誕生したアディダス(ADIDAS)の「スタンスミス」が最も衝撃だったのは、あるはずのスリーストライプスがないことだった。他のスポーツに比べてユニフォームのルールが厳しかったテニスは、白い革の無地のシューズでなければならなかったから、アディダスを特徴づけるスリーストライプスは通気性を高めるパーフォレーション(送り穴)へと姿を変えた。それは固定されたイメージを解放し、シューズに清潔感を与え、ブランドが進むべき未来を映し出す鏡となった。
白スニーカーブームに火をつけた、フィービー・ファイロ。
ファッションのトレンドに社会的背景が絡み合う傾向は、環境問題が深刻化した2000年代以降に加速した。ラフ・シモンズやファレル・ウィリアムスがコラボレーションし、フィービー・ファイロの日常のスタイルにも選ばれたことで、スタンスミスの最小限のデザインが世の中に与える影響力はピークを迎えた。
「アディダス バイ ステラ・マッカートニー」はサステナブルファッションのパイオニア的存在に。
そして2018年には、ステラ・マッカートニーが初のヴィーガンレザーの「ステラ#スタンスミス」を発表している。アディダスは今、「END PLASITC WASTE」をコンセプトに掲げ、環境へのコミットメントをどのメーカーよりも高めている。2020年にスタンスミスをリサイクル素材に変えたニュースは大きな話題となったが、そのメッセージ性を強めたのはモードの世界であり、ステラ ・マッカートニーの貢献が大きかった。
ミニマルからグラフィカルまで。ファッショニスタの着こなしトレンド。
スタスミスは、不朽の名作として名を馳せ、世界中で最も愛されている1足と言っても過言ではない。スタイルを選ばない万能アイテムだが、ミニマルかつクリーンな雰囲気を演出したい時はホワイトパンツを合わせるのがより効果的。リラックス感が漂うワイドシルエットをはじめ、細めのテーパードタイプでも上品に仕上がる。
また、真っ白なキャンバスのような役割を果たしてくれるスタンスミスは、カラフルなプリントとも好相性だ。パンツの裾からアイキャッチーな柄のソックスを覗かせれば、コーデ全体が自然と引き締まるはず。
スタンスミスコンフォート、通称「ベルクロ」はマジックテープによる脱ぎ履きの良さからコアなリピーターが多いタイプ。シューレースを排除することで、よりミニマルかつシンプルな足もとが完成する。そんなデザイン性を活かすなら、エッジィな黒レザーのジャケット&パンツに合わせて大人のムードを楽しむのがオススメだ。
1.スタンスミス パーレイ / STAN SMITH PARLEY
海岸や海沿いで回収されたプラスチック廃棄物をアップサイクル。
さまざまなコラボを展開し、毎回話題を集めるスタンスミスだが、海洋環境保護に取り組む「Parley for the Oceans(パーレイ・フォー・ジ・オーシャンズ)」とタッグを組んだコレクションは、これまで以上にサステナビリティへの意識を高めてくれる1足だ。シューレース、キャンバス、ウェビング、テキスタイルなどに、プラスチックゴミをアップサイクルして生まれた素材 「Parley Ocean Plastic (パーレイ・オーシャン・プラスチック)」を一部使用している。かかと部分に配した黒のウェビングは、足もとにシックなアクセントを効かせたい時の救世主に。
2.スタンスミス GORE-TEX / STAN SMITH GORE-TEX
GORE-TEXの防水性は雨の日のマストハブ。
ここ数年、スニーカートレンドを牽引している「GORE-TEX」を搭載したモデルなら、梅雨の時期や雨風の強い日はもちろん、キャンプなどのアウトドアシーンでも大活躍。透湿・防水・防風性を発揮するGORE-TEXテクノロジーを採用した合成アッパーは、リサイクル素材を50%以上使用している。
3.スタンスミス / STAN SMITH
根強いファンを持つプレミアムなレザータイプ。
名作スタンスミスの元となったモデル「ハイレット」は、フランス人テニス選手のロバート・ハイレットからインスピレーションを得て、作られたものだった。厚底アウトソールとアーチを描くステッチラインには、60年代後期モデルへのオマージュが込められている。さりげなく現在の空気感を反映したオールレザータイプで往年のヴィンテージムードを楽しんで。
問い合わせ先/アディダスお客様窓口 0570-033-033
https://shop.adidas.jp/
Text: Masayuki Ozawa Editor: Mayumi Numao

