LIFESTYLE / CULTURE & LIFE

ディズニーもBTSもジャズに夢中! 寒い夜をあたためるプレイリスト。

音楽がジャンルやカテゴリーを行き来するようになった今、ジャズ要素を取り入れた作品やアーティストが増え、歴史あるジャズに改めてスポットライトが当たっている。レジェンドが残した名曲から話題の映画サントラ、グラミー賞受賞の現代ジャズに至るまで、ジャズの世界を紐解く入門プレイリストをお届け!
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NEW YORK, NEW YORK - SEPTEMBER 25: Jon Batiste performs onstage during the 2021 Global Citizen Live: New York on September 25, 2021 in New York City. (Photo by Kevin Mazur/Getty Images for Global Citizen )Kevin Mazur/ Getty Images(Jon Batiste)

1. 「It's All Right」/ジョン・バティステ&セレステ

映画『ソウルフル・ワールド』から知る、ジャズの魅力。

第93回アカデミー賞作曲賞にノミネートされたディズニー&ピクサー映画『ソウルフル・ワールド』に楽曲提供したのが、2010年代ジャズシーンを象徴するミュージシャンのひとり、ジョン・バティステだ。米『フォーブス』誌の「世界を変える30歳未満の30人」にも選出されている。

アニメーションとは思えないほど本格的なジャズが盛り込まれた『ソウルフル・ワールド』のエンディングでは、ジョン・バティステがアレンジを手掛けた「It's All Right」が流れる。同曲は、カーティス・メイフィールドが作曲し、インプレッションズが1963年にリリースした名曲のカバーで、弾むような軽快なピアノにのせてジョン・バティステが歌う。新星セレステとのコラボバージョンが起用されているイギリス版にも注目だ。

2. 「It’s Always You」/チェット・ベイカー

BTSも魅せられた、 孤高の天才トランペッターが遺したアンセム。

58歳という若さで不慮の死を遂げたチェット・ベイカーは、1950年代のウエストコーストジャズを代表するトランペット奏者でシンガー。ジャズ好きとしても知られるBTSのVがチェット・ベイカーの影響を受けてトランペットを習い始めるなど、次世代アーティストにも多大なる影響を与えている。

「It’s Always You」はトランペットだけでなく、ボーカルとしての才能も世界に認めさせた代表曲だ。端正なルックスとどこか陰のある雰囲気を持つ彼が、中性的な歌声でメランコリックに歌い上げる。いつどんな時代に聴いても色褪せない、ジャズの普遍性を体感して。

3.「Wives and Lovers」/セシル・マクロリン・サルヴァント

 グラミー賞受賞のモダンで独創的な現代サウンド。

他の若手シンガーと一線を画す並外れた歌唱力と表現力、そして、個性溢れるヴィジュアルで一目置かれているのがセシル・マクロリン・サルヴァントだ。5歳でピアノを習い始め、21歳で「セロニアス・モンク国際ジャズ・コンペティション」のヴォーカル部門で優勝を果たし、“数十年に一人の逸材”と評される。

2015年にリリースされた「Wives and Lovers」は、グラミー賞の最優秀ジャズ・ヴォーカル・アルバム賞を受賞したアルバム『For One To Love』の収録曲で、バート・バカラックとハル・デヴィッドが映画『Wives & lovers』用に制作した楽曲のカバーだ。スタンダードな原曲の存在が薄れるほどセシルのアレンジは強烈なパッションと独自性に満ちている。

4. 「Spain」/チック・コリア

巨匠から受け継がれる永久不滅のファンク!

昨年2月、ジャズ界の巨匠チック・コリアの急逝は世界中に悲しみをもたらした。時代を越えて今もなおカバーされ続けている名曲「スペイン」はセカンドアルバム『Light as a Feather』に収録されており、リリースされたのは今から50年前の1972年。いかにチック・コリアが音楽史に残る偉大な存在であるかを物語っている。

メランコリックなオープニングから突如、フルートのリズミカルなフレーズ、ファンキーなアフロビートやラテンサウンドへと変貌を遂げながらストーリーが展開される。レトロでありながらキャッチーでハッピーな気分にさせてくれる1曲だ。

5.「the Man」/オマー 

今こそ聴きたい、オールドスクールな90年代アシッド・ジャズ。

90年代のアシッド・ジャズ、UKソウルムーブメントを牽引したベテラン・シンガーのオマー。長い沈黙を経て2013年にリリースしたEP『The Man』は、リードシングルの同名タイトルでもある。ヒップホップのグルーヴ、ハスキーで重厚感あるソウルフルなボーカル、艶やかなストリングスが織り成すどこまでも心地良いサウンドに虜になる。

同EPには、90年にリリースしたヒットナンバー「There’s Nothing Like This」のセルフカバーも収録されており、ディアンジェロのバンドメンバーとしても知られるピノ・パラディーノをフィーチャーしている。90年代リバイバルが再燃する中、知っておくべきマストなトラックだ。

Text: Kana Miyazawa Editor: Saori Asaka