FASHION / TREND & STORY

「体型で選ぶ」時代は終わり。ボディポジティブを広める、サイズインクルーシブなブランド15

年々広がりを見せているボディポジティブの動き。しかし、多くのデザイナーは“スタンダードサイズ”を打ち出すばかりで、プラスサイズを扱うブランドはいまだに少数派。そこで、UK版『VOGUE』のエディターとスタイリストが、日頃から実際に愛用するサイズインクルーシブなブランドをピックアップ。プリーツ プリーズ イッセイ ミヤケ(PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE)からサヴェージ X フェンティ(SAVAGE X FENTY)まで、体型問わず楽しめる注目のデザイナーを一挙にシェアする。

<左上>モリー ゴダード 2024-25年秋冬コレクションより。 <左下・右>クリスチャン・シリアノ 2024-25年秋冬コレクションより。

Photos: Gorunway.com

サイズインクルーシブな服を見つけることは、昔からずっと苦労の連続だ。デザインの幅が狭く、店舗の奥に気持ち程度に並べられたアイテムから、なんとか自分にフィットしそうなものを見つけるのがお決まりのパターンで、好みに合わせて選ぶ贅沢はほぼない。しかしここ数年、ファッション業界にもボディポジティブの波が押し寄せていることもあり、徐々にではあるが、あらゆる体型を称えるプラスサイズのデザインが増えつつある。

そもそも、すべての体型は称えられるべきもの。その考えを推し進める注目すべき15のブランドをご紹介。

1. プリーツ プリーズ イッセイ ミヤケ

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スタンダードサイズが大半を占めるラグジュアリーファッションにおいて、プラスサイズでも楽しめるハイエンドな服を展開している数少ないデザイナーがイッセイ ミヤケISSEY MIYAKE)だ。中でもエディターのお気に入りは、プリーツ プリーズ(PLEATS PLEASE)ライン。アコーディオンのように広がるプリーツが特徴の巧みなテキスタイルは、体型問わず美しく着られ、1枚でもワンランク上のコーデが叶う。

2. パンガイア

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365パーカで一躍有名になったパンガイア(PANGAIA)だが、そのラインナップはクルーネックTシャツ、ジョガーパンツ、カーディガンをはじめとする定番のカジュアルウェアにとどまらず、スマートカジュアルなシーンでも大活躍するアイテムも網羅する。パイナップルの葉の果実繊維(フルーツファイバー)やブドウから紡いだレザーなど、斬新な素材で作られた地球に優しいデザインは、どれもゆったりめのカット。サイズは2XLまでだが、基本的にオーバーサイズのため、着心地のいい上質な定番アイテムがきっと見つかるはず。

3. ガールフレンド・コレクティブ

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15ブランドの中で最も幅広いサイズ展開があるガールフレンド・コレクティブ(GIRLFRIEND COLLECTIVE)はサイズインクルーシブなだけでなく、プラスチックごみ問題などに取り組むサステナブルなアクティブウェアブランド。リサイクルされたペットボトルから作られたピースは6XLまで対応していて、あらゆるスポーツに向いている。レギンスやスコート、カバー力のあるブラ、キュートなセットアップなど、ほかではなかなか見つからないプラスサイズのアイテムが勢揃い。

4. シネイド オドワイヤー

シネイド オドワイヤー 2024年春夏コレクションより。

Photo: Courtesy of Sinead O'Dwyer

サンプルサイズの概念を完全に取り払ったシネイド オドワイヤー(SINÉAD O'DWYER)といえば、レースやシフォンのような繊細な素材とグランジテイストのコントラストが美しいデザイン。エッジの効いたクールなスタイルで従来の“標準サイズ”の基準を再定義し、シャーリングのピースはUKサイズ4から26までフィットする。

5. リフォーメーション

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1年中愛用できるシックでミニマルな定番アイテムを打ち出すリフォーメーションREFORMATION)。Aラインスカート、ボートネックトップ、夏用のリネンセパレートに加え、結婚式のお呼ばれにふさわしいガウンも揃っている。コアコレクションはUKサイズ16まで、プラスサイズラインはUKサイズ18から28までと幅広い。

6. パロマ・ウール

パロマ・ウール 2021-22年秋冬コレクションより。

Photo: Estrop/Getty Images

センシュアルなニットウェアこそサイズインクルーシブではないが、パロマ・ウールPALOMA WOOL)にはほかにもストレッチが効いたピースが揃う。プラスサイズに最もおすすめなのは、スペインで紡績されたアシンメトリースカートや個性豊かなタンクトップ

7. カイ・コレクティブ

Photo: Kirstin Sinclair/Getty Images

ナイジェリア出身のデザイナー、フィサヨ・ロンゲが立ち上げたカイ・コレクティブ(KAI COLLECTIVE)は、周囲の視線を釘付けにするシルエットとビビッドなカラーパレットでほかブランドと一線を画す。いち押しアイテムは5XLまで対応する、ドロップウエストの「アデスワ」ドレス

8. ミャウ

ミャウ 2019年春夏コレクションより。

Photo: Regis Colis Berthelier / Courtesy of Miaou

Y2Kスタイルのエッセンスを吹き込んだデザインで、今イットガールをはじめとするファッショニスタたちの間で絶大な支持を得ているミャウ(MIAOU)。自分の体に合うデニムを見つけるのに苦労したアレクシア・エルカイムの実体験がきっかけで立ち上げられたブランドなだけあり、サイズ展開はXXSから4XLまでと幅広い。過去にはエルカイムの長年の友人で、ボディポジティブの最前線を駆けるモデル、パロマ・エルセッサーとのコラボレーションラインを発表したこともある、プラスサイズのワードローブには外せないブランドだ。

9. エスター マナス

エスター マナス 2023-24年秋冬コレクションより。

Photo: Salvatore Dragone / Gorunway.com

「体型隠し」という概念を一蹴するエスター マナス(ESTER MANAS)は、グラマラスなフリル、シャーリングを取り入れたディテール、センシュアルなカットアウトを施した大胆なデザインをボディポジティブなピースへと昇華するベルギー発のブランド。革新的なアプローチで製作するアイテムはサイズ調整ができるように仕立てられていて、文字通り、あらゆる体型にフィットする「フリーサイズ」だ。

10. ガニー

ガニー 2022-23年秋冬コレクションより。

Photo: Joséphine Löchen/ Courtesy of Ganni

遊び心あるプリントや個性あふれるテーラーリングで、痩せ見えするブラックメインではない、カラフルなプラスサイズのワードローブを提案するガニーGANNI)。UKサイズ24まで取り扱い、ありのままのボディを謳歌できるとエディターのお墨付き。

11. スキムズ

Photo: James Devaney/Getty Images

ランジェリーにカジュアルウェア、ルームウェア向けのセットアップなど、着回しの効くワードローブの要となる、質の高いベーシックアイテムを数多く取り揃えているシェイプウェアブランドのスキムズSKIMS)。ボディコンシャススタイルの女王とも呼ばれるキム・カーダシアンが作るこだわりのシルエットは体のラインを美しく拾い、ミニマルでありながらリュクス。4Xサイズまで扱っているのも嬉しいポイントだ。

12. サヴェージ X フェンティ

Photo: Presley Ann/Getty Images

開始以来、インクルーシブなファッションショーで毎年メディアを賑わせてきた、リアーナによるサヴェージ X フェンティSAVAGE X FENTY)。グラマーなバストもセクシーに魅せてくれるランジェリー、ラウンジウェア、アクティブウェアをひとたび身につければ、自信がみなぎってくること間違いなし。

13. チョポヴァ ロウェナ

チョポヴァ ロウェナ 2020年春夏コレクションより。

Photo: Courtesy of Chopova Lowena

インパクト大なプリントとサイズを問わないデザインでカルト的な人気を誇るロンドン拠点のブランド、チョポヴァ ロウェナCHOPOVA LOWENA)。シグネチャーのカラビナスカートは度々完売する人気スタイルで、サイズもUK26までと豊富。

14. カロライン ヴィット

カロライン ヴィット 2024年春夏コレクションより。

Photo: WWD/Getty Images

2022-23年秋冬シーズンでデビュー・コレクションを発表したカロライン ヴィット(KAROLINE VITTO)は、プラスサイズモデルのみをキャスティングした画期的なショーでファッション業界を唸らせた。ステッチの代わりに、ワイヤーや安全ピンなどで繋ぎ合わせた深いスリット入りスリップドレスは、体のラインを縁取るように引き立てる。

15. ディ ペッツァ

ディ ペッツァ 2023年春夏コレクションより。

Photo: Courtesy of Di Petsa

独特のウェットルック・ドレスで女性の曲線美を讃えるディ ペッツァ(DI PETSA)は、リゾ、キム・カーダシアン、アシュリー・グラハムなどのセレブも過去に着用。濡れているように見える、幻想的なテクスチャーのガウンやセパレートの多くは、完全カスタムサイズでオーダー可能だ。

Text: Tracy Achonwa Adaptation: Anzu Kawano
From VOGUE.CO.UK