自然が人にもたらす本質的な生き方のヒント
138億年前のビックバンから宇宙は誇張し続け、45億年前に地球が誕生。そこから10億年が経過し生命が育まれ、およそ700万年前にヒトが、4万年前に私たちホモサピエンスが誕生した。
その間、地球の気候は何度も変動を繰り返してきたが、産業革命以降、急激な気温上昇が続いている。主要因は「化石燃料への依存」「集約農業」「大規模な森林伐採」という我々人間の都合であることに間違いはないようだ。
そんな地球と自然環境の問題について考えるアースデイに合わせ、気候変動の事実と行動すべき事を分かりやすく記している書籍だけでなく、幅広く環境問題に興味を持ってもらえるような切り口を探ってみた。気候危機の問題はあまりに複雑で難しくスケールの大きい課題ゆえ、他人事と感じてしまいがち。そこで、より良い世界を創造するために一人ひとりがどうやって「自分ごととして捉えられるか」に焦点を当てた。
環境問題を複数の視点から捉え、子どもが読める絵本から、直感的に見られる写真集、自然を独自のスタンスで再解釈する本までをピックアップ。アースマンスに薦めたい、自然が人にもたらす本質的な生き方のヒントとなる5冊を紹介する。
1.『今日、誰のために生きる?アフリカの小さな村が教えてくれた幸せがずっと続く30の物語』
アフリカのペンキ画「ティンガティンガ」に魅了され、単身アフリカ・ブンジュ村へ渡ったペンキ画家SHOGEN氏の実話。村人との交流を通じ、幸せを感じる為のシンプルな方法を学ぶ。「効率良く生きたいなら、生まれてすぐ死ねばいい」という衝撃的なラインと、心に余裕を持つ事が何より大事にされている村での学び。我々もこれらの教えを実践すれば間違いなく良い未来に繋がるだろうと確信できる、説得力のあるエピソードが多数紹介されている。
例えば村長の言葉で「一番最初に大切にしないといけないのは自分」という一説がある。自分の心を満たさない限り、本当の意味で誰かの力になれない事をブンジュ村の人は知っているからだ。気候変動や人口増加、紛争、貧富格差など様々な社会問題に向き合うためにも、まずはこの本を勧めたい。
2.「新しい時間」
現代人の時間の基準になっている「西暦」とは約5000年前のエジプトの暦が起源。地球が太陽を一巡りする1年(365日)を12カ月に分けた暦であった。その後何度かの改暦によって、今の西暦(グレゴリオ暦)はより正確に1年を計れるように。時間のズレが生じないための工夫から、今月は30日、来月は31日と不連続なカレンダーとなっている。
これは自然界にはない人間だけが従っている人工的な時間の枠組みである。5000年前、地球上の人口は1億人足らずだったが、グレゴリオ暦と時計の発明を境に人口は急速に増え続け、地球環境に多大な影響を与えるようになった。本書は「人工的な時間」からもう一度「自然のリズム」を取り戻す方法として、13カ月の暦という28日周期のカレンダーを提唱。心や体に起こるさまざまな変化を感じる事ができる実践書となっている。
3.『家庭で出来る自然療法』
1978年に刊行され、一般流通しづらいインディペンデントな経路で販売を開始したにもかかわらず、重版を重ね、現在1100版という自然療法の名著。あらゆる病気の対処法や原因が解説されており、自然療法や自然治癒力の凄さを学べる。西洋医学なども参考にはしているが、「目に見えない大いなる力」や「自然に生かされている感謝の心」の事など、単なる実用書の範疇を越えた哲学書でもある。
4.『ジャングルの本』
フランスの児童書出版社ガリマール・ジェネス社から刊行されたはじめての発見シリーズ翻訳版。ジャングルの様子を独特な濃い色で描いた絵本。透明なフィルムページを捲ると絵が一変する仕掛けもあり、さまざまな生物を図鑑的に知る事も出来る盛りだくさんな内容。一見、普通の児童書のように見えるが、最後のページに思わぬオチが用意されており、環境意識を伝える良書。
5.『PLANET OF WATER』
酸素が地球の大気に含まれるずっと以前から生命はあった。それは水があったからで、化学反応の要である水なきところに生物は生まれない。自然写真の世界最高峰といわれる「Wildlife photographer of the year 2022」自然芸術性部門で最優秀賞を受賞した高砂淳二氏の水を巡る写真集。
CITYLIGHT BOOK
代々木上原駅より徒歩1分、Café&Bar 併設の新刊書店。環境問題、社会運動、フェミニズム、LGBTQ+などに関する書籍を数多く取り揃え、著者や関連コミュニティによるイベントやトークショーなども開催。
営業時間/水曜日〜月曜日、13:00〜22:00
住所/東京都渋谷区1-23-3CABO上原102
1F:人文社会、文芸、自然科学、ZINE、Beat、文庫etc
2F:レシピ、児童書、絵本、コミックスetc
問合せ先/kaminaga@citylightbook.com
Photos & Text: Yasuhiro Kaminaga Editor: Nanami Kobayashi