グルマンやアッパークラスが訪れる休息の地
パリからロワール渓谷の玄関口、オルレアンまでは車で2時間ほど。このエリアは、フランスを代表する銘醸地のひとつとして名を馳せ、クリストフ・ヘイが率いる2つ星「フルール・ド・ロワール」をはじめ、東部のサントル=ヴァル・ド・ロワール地域圏だけでも、なんとミシュラン星付きのレストランが22軒もある美食地帯。実は1棟十数億円の超高級レジデンスが点在し、名うてのグルマンや超アッパー層たちが休暇の度に訪れるのだ。
歴史探訪にももってこいで、中世からルネサンス期にかけて王侯貴族が建てた数多くの城があり、代表的なものだけでも20以上。フランスでもっとも広大なユネスコ世界遺産を構成している。歴代フランス国王の居城だったアンボワーズ城やブロワ城、ベルサイユ宮殿に次ぐ来訪者数を誇るシュノンソー城、ジャンヌ・ダルクゆかりのシノン城など。なかでもシャンボール城はフランス・ルネサンス様式の最高傑作として知られ、あのレオナルド・ダ・ビンチも建築に関わったと言われる。そんな古城巡りを楽しんだあとは、有名ワイナリーやミシュラン星付きレストランを堪能する美食旅へ。
18世紀の優雅さをまとった「レ・ソース・ド・シュヴェルニー」
ロワールの滞在先としてイチ推ししたいのが、シャンボール城から車で20分ほどの「レ・ソース・ド・シュヴェルニー」。2020年にオープンした、自然豊かでとにかくとびきりロマンテックなリゾートなのだ。
大きなゲートを越えると、18世紀の優雅さをまとったフランスのシャトーが出迎える。客室は全49室。シャトーの中には、厳選されたアンティーク家具と美しいファブリックに満たされたスーペリア、プレステージの客室があり、敷地内に点在する独立したコテージは、伝統的なカントリーハウス風で、すべてスイート仕様。湖の畔に建つシグニチャースイートの「ル・バロン・ペルシェ」は、外観は牧歌的な雰囲気が漂う木造づくりで、室内は洗練されたインテリアで統一されている。建物の隣に木造の簡素な展望台があり、またこれが妙に風情があって、登るとエステートとブドウ園の絶景が見渡すことができる。
至宝のワインとともに味わうロワールの一皿
レストランは2つ。フレデリック・カルメルとそのチームがミシュランの星を獲得した「ル・ファヴォリ」は、ロワールの豊かな土地の恵みを存分に活かしたフレンチを、解放感あふれるダイニングルームで提供。レストラン「ローベルジュ」は、落ち着いたインテリアの中で、ボリュームたっぶりの伝統的なフランスの家庭料理が楽しめる。隣接する「バー・ド・ローベルジュ」のワインコレクションも必見。フレンドリーなスタッフの温かいもてなしの中で、銘醸地ならではの至宝のワインが味わえる。
自然に恵まれた広大な敷地を有し、7ヘクタールものブドウ畑も所有。今のシーズンは、実ったブドウが午後の太陽を浴び、秋の収穫を待っている。レストランの美食もいいが、木陰を使用してのピクニックランチもいい。シェフが心を込めた料理を、さわやかな風を感じながら自然の中でいただく。緑に包まれたプールサイドでくつろぐことも、中庭でカクテルを楽しむことも、評判のスパで癒されることも、まるで夢のような時間を過ごすことができる。
レ・ソース・ド・シュヴェルニー(Les Sources de Cheverny)
23, route de Fougères, 41700 Cheverny, France
Tel./+33-2-54-44-20-20
https://www.sources-cheverny.com/
Text: Yuka Kumano Editor: Mayumi Numao