【2023年/テーマ カール・ラガーフェルド: 美のライン】
故カール・ラガーフェルドの功績を称えた2023年のメットガラでは、稀代のデザイナーが愛したパールやツイード、カメリア、そして愛猫シュペットをオマージュするセレブが続出した。アン・ハサウェイは、カールのミューズであった1990年代のスーパーモデルたちを彷彿とさせるヴェルサーチェ(VERSACE)のドレスを着用。80年代後半に流行したシャネル(CHANEL)のゴールドコインアクセサリーをインスピレーションにしたブルガリ(BVLGARI)のネックレスを合わせ、圧倒的な輝きを放った。
一方、カールから遺産の多くを受け継いだシュペットになりきって現れたのが、ドージャ・キャットやジャレッド・レトだ。ヘアメイクや着ぐるみで変身を遂げて話題を独占した。そして大遅刻の末、大トリを飾ったのがリアーナとパートナーのエイサップ・ロッキー。第二子を妊娠中だった歌姫は、500枚の花びらでできた30輪の巨大なカメリアがついたケープに、大きく広がるトレーンが特徴のヴァレンティノ(VALENTINO)のドレスを纏い、レッドカーペットに華を添えた。
【2022年/テーマ In America: An Anthology of Fashion】
コロナ禍を経て、久々に5月に開催された2022年。展覧会のテーマは前年に続いて『In America: An Anthology of Fashion(イン・アメリカ:ファッションのアンソロジー)』で、ドレスコードは「Gilded Glamour(金色に飾られた魅力)」。話題だったドレスといえば、夫ライアン・レイノルズとともにホストを務めたブレイク・ライブリーのヴェルサーチェ(VERSACE)のカスタムドレスだ。レッドカーペット上でウエストの大きなリボンをほどき、それが長いトレーンになるというサプライズで皆を沸かせた。
クリストファー・ジョン・ロジャースのトレーンを引いたイヴニングを纏ったのは、ガラの常連、サラ・ジェシカ・パーカー。黒人女性ファッションデザイナーとして歴史に名を残したエリザベス・ホブス・ケックリーにオマージュを捧げるものだった。中世貴族を彷彿とさせるディオール(DIOR)のレッドスーツで登場したカーラ・デルヴィーニュもインパクト大!ドレスコードであるゴールドにボディペイントを施し、胸もとにも同色のチェーンを纏ったニップレス姿で大胆コーディネートを披露した。
【2022年/テーマ In America: An Anthology of Fashion】
2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響により中止に。2021年も引き続きコロナ禍のため、メットガラと特別展は9月に延期。「In America」の第1章として開催された。
一番のインパクト溢れる演出は、リル・ナズ・X! ヴェルサーチェ(VERSACE)のゴールドの衣装を着用して登場したのだが、ゴージャスなケープから甲冑、さらにジャンプスーツへと3度のチェンジをレッドカーペット上で披露したのだ。テーマであるアメリカ人デザイナーの服を纏ったのは、ビリー・アイリッシュ。オスカー・デ・ラ・レンタ(OSCAR DE LA RENTA)のエアリーなイヴニングドレスと50年代調のハリウッドメイクで、マリリン・モンローそっくりの姿を見せた。馬モチーフの3Dビスチェで一際異彩を放ったのは、キム・ペトラス。NYの若手、コリーナ ストラーダ(COLLINA STRADA)によるもので、馬の毛を意識したポニーテールといったディテールまで徹底して拘った。
【2019年/テーマ Camp: Notes on Fashion】
2019年のテーマは、「Camp: Notes on Fashion(キャンプ:ファッションについてのノート)」。作家スーザン・ソンタグのエッセイに基づいたもので、ソンタグは「キャンプの要素は、不自然なもの、技巧と誇張を愛する感性だ」と定義している。
セレブたちの装いも、とびきり個性的でユーモラスなドレスのオンパレード!ケイティ・ペリーは、スワロフスキーのクリスタルを散りばめたモスキーノ(MOSCHINO)のシャンデリアドレスで皆の視線を集中させた。カーディ・Bがチョイスしたのは、トム ブラウン(THOM BROWNE)のバーガンディドレス。そのトレーンの長さは約3m!また、ヘムに配したフリルには約3万枚ものフェザーを使っているのだとか。ディオール(DIOR)のレインボージャンプスーツ姿のカーラ・デルヴィーニュは、バナナや目玉焼きモチーフのヘッドピースでユーモアをさらにプラスした。
【2018年/テーマ Heavenly Bodies: Fashion and the Catholic Imagination】
「Heavenly Bodies:ファッションとカトリックの想像力(Fashion and the Catholic Imagination)」が2018年のテーマだったため、ゲストたちの服も宗教的なイメージのスタイルが多くみられた。
ジェレミー・スコットとともに現れたカーディ・Bは、もちろんモスキーノ(MOSCHINO)を着用。華やかなガウンと王冠を纏った彼女は妊婦。カトリックにインスパイアされたドレスはインパクト大だが、同時に神秘的なオーラも放っていた。大きく輝く十字架でテーマをリンクさせたのは、ジェニファー・ロペス。バルマン(BALMAIN)のきらびやかなドレスのスリットから覗く鍛え抜いた太ももも圧巻!
【2017年/テーマ Rei Kawakubo/Comme des Garcons Art of the In Between 】
2017年は、日本を代表するコム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)の川久保玲にフィーチャーした展覧会を開催!ガラ会場にも、アバンギャルドなコム デ ギャルソンの衣装に身を包んだセレブが多く現れた。
筆頭はビッグフリルを大胆に配したアシンメトリードレスを纏ったビヨンセ。赤のレースアップシューズでパンキッシュなスタイルに昇華。また、共同ホストのひとりだったファレル・ウィリアムスと妻のヘレン・ラシチャンにも注目。ウィリアムスがカジュアルなライダース&デニム姿だったのに対し、ラシチャンは2017年秋冬の個性的なフォルムのレッドルックをチョイスした。息子のジョン・シュロスバーグとともに出席した前駐日米国大使のキャロライン・ケネディのビッグシルエットや、シンプルながらインパクトの高いブルードレスを選んだ故ステラ・テナントなど、色とりどりのギャルソンルックが披露された。
【2016年/テーマ Manus x Machina: Fashion In An Age Of Technology】
「Manus x Machina: Fashion In An Age Of Technology(手仕事と機械)」を感じさせるクチュールドレスやフューチャリスティックな装いが目立った2016年。バストとヒップがレースで透けたジバンシィ(GIVENCHY)のブラックドレスで登場したマドンナは、SNSで下品と批判が殺到。だが、年齢やジェンダーに関係なくファッションは自由であると真っ向から反論し、自身のスタイルを堂々と貫いた。同じくジバンシィを纏ったビヨンセは、光沢感と伸縮性のあるラテックスドレスで近未来感を演出。
電子回路をモチーフにしたヴェルサーチェ(VERSACE)のジャケットで80年代パンクを表現したレディー・ガガと、フォルムはシンプルながらボディ部分のカッティングで精巧な技術を見せたケイト・ハドソンのツーショットも思い出深い。