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ミリー・ボビー・ブラウンへの容姿批判に抗議する動画、550万「いいね」。支持されるワケとは?【セレブ美容探偵】

21歳のミリー・ボビー・ブラウン。彼女が世代を代表して、「Z世代はなぜ年齢より老けているのか」とメディアから批判されるという事態が起きた。人の容姿についてなぜ人はアンチなコメントをしてしまうのか、セレブウォッチャー・さかいもゆるが考察する。

先日はロンドンで開催された『The Electric State』に出席。Photo: Jed Cullen/Getty Images

Dave Benett

ルッキズムエイジズムが問題視される昨今のムーブメントの中で、未だに私たちは、他人の容姿についてあれこれ言うことをやめられない。今回そのターゲットとなったのは、21歳のミリー・ボビー・ブラウンだ。

こちらがブリット・アワードのミリー。Photo: FilmMagic/Getty Images

Neil Mockford

10歳で子役デビューし、その後12歳でNetflixの『ストレンジャー・シングス』のイレブン役で世界的スターとなった彼女は、まだ20代にも関わらず、SNSユーザーたちから「老けすぎ」だとの批判を受けた。それを受けて英『Daily Mail』誌が今度は「なぜミリー・ボビー・ブランをはじめとするZ世代は老けているのか」というタイトルの記事を掲載。ミリーを巡るボディシェイミングがネット上で議論を呼んでいる。

笑顔でスピーチを行った。Photo: Getty Images

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ミリーはここ最近、Netflixの新作映画『The Electric State(原題)』のプロモーションでレッドカーペットに登場。先日はBRITアワードに出演したばかり。そんな彼女のドレスアップ姿が、「おばさんみたい」、「なんでミリーは4人子どもが居る離婚歴のある47歳みたいなスタイリングをするのか」などなど、Xユーザーたちに大不評。

問題となっているのは、これに便乗した『Daily Mail』の記事である。タイトルはこうだ。「ミリー・ボビー・ブラウンのようなZ世代はなぜ老化が酷いのか? エステティシャンは、20代のクライアントがフィラー注入により肌を伸ばし、『似たような顔になる』と明かす。一方、ミレニアル世代は『賢明な選択』を下す」。長い上に、露骨なボディシェイミング、安易なステレオタイプ、そして世代間の分断。悪意の詰め合わせのようなタイトル。

2018年のミリーはまだまだ幼い印象。Photo: FilmMagic/Getty Images

Joe Maher

『Daily Mail』だけではない。ほかのメディアでも、「ミリー・ボビー・ブラウンは彼女の顔に何をしたの?」だの、「妹のアヴァと居るミリーは“誰かのお母さん“と見間違える」などの見出しで、ネットの彼女への容姿批判の流れに乗っかった。

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これに対してミリーはインスタグラムの動画で、抗議の声明をシェア。「これは人前に出る機会のあるすべての若い世代の女性たちにも関係して影響することなので、話しておきたいと思います」、と前置きした上で、前述の批判記事のタイトルとそれを書いた記者たちの名前を読み上げ、「これはジャーナリズムではなくいじめです」と断言。ジェネレーションを一定の型にはめて分断しようとしていると非難した。「私は10歳で世界の前にデビューして育ってきましたが、なぜか人々は私と一緒に成長できていないようです。彼らは私が『ストレンジャー・シングス』のときのまま凍結することを求め、そうではないので今、私は標的にされています」

2月にも公の場に登場。Photo: WireImage/Getty Images

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大人のジャーナリストたちが自分の顔やボディ、選択について批判することに時間を費やし、その記事のいくつかは女性ジャーナリストによって書かれていることはより最悪だ、とボビー。普段は若い女性をサポートし勇気づけるようなことを言いながら、クリック数のためには簡単に彼女たちを引き裂くようなことを書くと、メディアへの苦言も。さらに、「私は成長したことを謝ることを拒否します。自分の見た目や服装、自分であることを恥ずべきだとは思いません」と毅然と語った。彼女があえてすっぴんのままこの動画を撮影したことにも、強いステートメントを感じる。

「私たちは称賛するよりも批評するのがより簡単な社会になりつつあります。なぜ何かいいことを言う代わりに、こんないじめっ子のような酷い言葉を吐くのでしょう。もっといいことをしましょう。私のためだけでなく、すべての若い女性が存在するだけで串刺しにされるという恐れを感じずに育つことができるように」と締め括った。

全身レオパード柄で。Photo: GC Images

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この動画には120万の「いいね!」が寄せられ、サラ・ジェシカ・パーカーは「あなたを誇らしく思う」、シャロン・ストーンは「美しいコメント。よくぞ言ってくれた」など、セレブたちもサポート。ルイス・パトリッジは「よく言った。気高さを持ってよく対処したと思う」と称賛している。

アカデミー賞受賞式のアフターパーティにて。セレーナ・ゴメス。Photo: GA/The Hollywood Reporter via Getty Images

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最近では、アカデミー賞授賞式のレッドカーペットでのセレーナ・ゴメスが、去年に比べて痩せてスッキリして見えることから、「ボトックスと美容整形の力ってすごい」とSNSユーザーたちから批判された。実際には、彼女が太ったのは持病の治療のための薬の副作用だったにも関わらず。同じように体型批判を受けてきたアリアナ・グランデは、去年4月に「善意であっても私たちは人の体型について話すべきではない」と、痩せすぎを心配するファンたちにTikTokでコメントを表明している。

アリアナは『ウィキッド ふたりの魔女』出演で、アカデミー賞授賞式に出席。Photo: WireImage/Getty Images

Arturo Holmes

これらの現象からは、人前に立つ女性たちが年齢に関係なく、容姿の変化や加齢について常に批判に晒され、ストレスを受けてきた背景が窺える。いや、人前に立つ必要のない一般人の私たちでさえ、物心ついたと気から、女性というだけで世間からルックスを勝手に品定めされ点数をつけることに、うんざりして来たのではなかったか。

『Daily Mail』は「Z世代はSNSでの評価を恐れ、まだ必要がないフィラー注入をしたりやりすぎのスキンケアでかえって老けて見える。ミレニアル世代はそんな彼らを反面教師にしている」と書いているけれど。そういった価値観を作り出し洗脳して来たのは誰なのか。そんな呪いから私たちは自由になる段階に来ているし、権利があるはずだ。

Text: Moyuru Sakai Editor: Toru Mitani

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