SFFILMアワード・ナイトに現れたデミ・ムーアの画像が、物議を呼んでいる。62歳の彼女の顔に一切シワがなく、華々しくキャリアの復活を遂げた今年5月のカンヌ国際映画祭のときよりさらに若返っていたからだ。どう見積もっても30代くらいにしか見えない。一体どうなっているのか。
しかしそんな不自然なデミの若々しさに、ジャーナリストのポール・スカラスはXで「以前は女性は20代と30代にセクシーになるものだったが、現代では死ぬまでセクシーであり続ければならない」、とポール。「これはタフな基準です」。これまでにXで100回近く閲覧されたこのポストは反響を呼び、老いに抗うアンチエイジングの美容医療について、様々な意見が飛び交っている。
「お金があればあなたはホットなままでいられる。見た目に月1000ドルかけないと、あなたは歳を取るでしょう」というコメントをしたXユーザーや、「若い盛りを過ぎてもホットでいることは、時間だけでなく費用もかかります」というポストも。彼女たちが訴えるのは、お金持ちだけが若さを維持できることへの不公平さ。さらに、「セレブは基準値から外れた極端な外れ値です。けれど誰もが24時間365日そんなセレブたちの姿を目にしているので、それはノーマルな容姿に対しての概念に影響を与えている」という、悪影響を心配する声も上がっている。
40歳のときに映画『チャーリーズ・エンジェル フルスロットル』出演のため、2600万円以上かけて全身美容整形したこともあるデミ。最近では米People誌で「20代、30代を振り返ると、足りないものばかりに目を向けていた。でも今ではエイジングとの関係性は以前よりずっと喜ばしい受容となっている」と、加齢を受け入れていると発言。「もちろん、もっとこうだったらいいのになと思うことはある。でも私は自分自身を外側からだけじゃなく、私がどういう人間なのか、3人の母親であるという充足感から見るようになった」
過去にはプロデューサーから減量するように言われ、5年間ワークアウトに執着し続けた経験があると、とあるファッション誌に語ったことも。外見に対するプレッシャーに苦しみ続けて来た彼女が、最新主演映画『The Substance（原題）』では老化で役がもらえなくなり、若返りの物質を摂取する俳優を演じているのは興味深いこと。あるいはデミも、映画の中のヒロインのように、お金を出せば若返ることができる美容医療の魔力に取り憑かれてしまったのだろうか。
しかし「永遠に美しくありたい」と願う女性がこの世に大勢いることは確かで、それが美容医療技術の進歩により手に入れられるようになった今、デミのように常に表舞台に立たなければならないスターにとって、その魅力に抗うのは至難のわざ。どこまでが「やりすぎ」でどこまでが「適切なメインテナンス」なのか。美容医療ブームの昨今、それを冷静に自分で見極める目が、今後ますます必要となって行きそうだ。
Text: Moyuru Sakai Editor: Toru Mitani
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