【久住有生】自然界から受けるインスピレーションをもとに自由な感性で壁を塗る
自然界から得られる原材料を使って、職人の感性や技能によって現場で自由自在に表現できるところが左官の魅力だと語る久住有生。兵庫県淡路島で祖父の代から続く左官の家に生まれ、初めて鏝を握ったのは3歳。高校時代にバルセロナでガウディの建築に圧倒されて左官になることを決めた。名工と謳われた父のもとで、さらに日本各地の親方について経験を積み、2009年には伝統技能からの革新を目指して左官株式会社を設立した。
建設プロジェクトには図面の段階から参加し、最後は現場に立って、その時に一番よいと思った壁を塗る。人間を含めた自然界から感じる感動こそがインスピレーションの源だという。2016年のニューヨーク国連本部におけるインスタレーションをはじめ、海外の実績も多く、今や活躍の場はグローバルに。2020年にリノベーションした富士屋ホテルのレストラン「カスケード」、ハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄のエレベーターホールのアートのほか、熱海パールスターホテルやポルトムインターナショナル北海道のロビーなど、旅先で久住の作品に出会うことも多い。
久住有生 左官株式会社
www.kusuminaoki.com
ハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄
www.hyatt.com/hyatt-regency/ja-JP/okaro-hyatt-regency-seragaki-island-okinawa
ポルトムインターナショナル北海道
www.portom.jp/
【小島鉄平&トラッドマンズ ボンサイ】新感覚の盆栽を世界に向けて発信する
「盆栽は究極のヴィンテージ」と考え、伝統を大切に守る一方で、既成概念を超えた新たな盆栽の世界を国内外に発信する盆栽プロデューサー・小島鉄平。盆栽が置かれたモダンな空間演出によって、ディオール、ナイキ、リモワ、ランドローバーなど、錚々たるブランドともコラボレーションする。幼い頃から身近に盆栽があり、アパレル業界でバイヤーとして働いていた頃も、趣味で盆栽園に通っていたという。買付けのために訪れた国で、海外でブームになっている盆栽にときどき出くわしたが、それは盆栽といえるようなものではなかった。
そんなことが何回か重なり、自分たちが本物の盆栽を世界に伝えるんだという決意のもと、帰国後、仲間とともにトラッドマンズ ボンサイ(TRADMAN’S BONSAI)を結成。小島は、盆栽が持っている古くさいイメージを一掃し、これまでにない新しい盆栽の世界を、若者を含む幅広い世代に届けている。今年5月には、待望の旗艦店「トラッドマンズ ボンサイ トウキョウ」を丸の内・新東京ビルにオープン。彼らの作品を身近に体験できるようになった。
TRADMAN'S BONSAI TOKYO(トラッドマンズ ボンサイ トウキョウ)
東京都千代田区丸の内3-3-1新東京ビル1F
www.instagram.com/tradmans_tokyo/
【中里花子&monohanako】日米の異文化の出合いから生まれる現代にフィットする器
陶芸家・中里花子は、祖父は人間国宝12代中里太郎右衛門、父は「隆太窯」を始めた中里隆という唐津焼一家に生まれた。もともと家業を継ぐ気はなく、プロテニスプレーヤーを目指して16歳の時に単身渡米するも、その夢はかなわず、自分は何をすべきか悩んだ末に行きついたのがアートの世界だった。ところが、大学に進みアートを学んでいくうちに、思想重視で理論先行の西洋美術に違和感を抱き、やがて暮らしに寄り添う日本文化に興味を持ち始めたという。
帰国して実家で3年弱修業し、再び渡米。かつて祖父に師事していた陶芸家マルコム・ライトのもとで修業を続けながら日米で作品を発表。2007年に故郷の唐津に工房兼ギャラリー「monohanako」を、2010年には米国メイン州にも工房を設立。現在は半年ごとに行き来しながら創作活動を続けている。2つの拠点で実感する日米の自然や文化の違いが、作品に変化と多様性を与えるという。「monohanako」では、伝統的な唐津焼のスタイルにはこだわらず、現代的な感覚とライフスタイルにフィットする彼女らしい作品に出合うことができる。
monohanako
佐賀県唐津市見借4838-20
Tel./0955-58-9467
※営業日はInstagramで要確認
www.monohanako.com
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Text: Yuka Kumano