LIFESTYLE / TRAVEL

ふたりでシェアしたい、自然に抱かれた別世界のような宿3選【お籠り宿 vol.2】

海山に包まれたプライベート感満載の隠れ家で過ごすお籠り旅。vol.1の一人時間を楽しむ宿に続き、vol.2は大切な人と過ごしたい別世界のような宿。心揺さぶる大自然の絶景、リラックスできる洗練のインテリア、地産地消の美食など、そこでしか味わうことのできない感動をシェアしたい。

【すみや落水邸】 深い森の奥に佇む隠れ家

高山と郡上八幡を結ぶせせらぎ街道から道一本入った標高1000mの森の中にある。

建築家がインスピレーションの源を探し求めて、飛騨高山の近郊にラボとして建てた別荘が、インテリアデザイナーの住百合子と娘の住菜摘によって、一日一組限定の宿、すみや落水邸へと生まれ変わった。草津温泉「奈良屋」 や下呂温泉「しょうげつ」などを手掛けた住百合子が、生まれ故郷でプロデュ―スした2軒目の宿だ。

床に座って自然を楽しむように設計されたリビング&ダイニング。

癒しの水音を奏でる清流とマイナスイオンに満ちた森によって、まるで外界と遮断されたかのような隠れ家は、自然の中で過ごすことの素晴らしさを再認識させてくれる。リビング、ダイニング、和室が一体になった広々とした空間は、建築家のこだわりで椅子は置かず、床に座ってその目線で自然を楽しむ設計だ。愛用していた製図台もそのまま残され、デスクとして利用されている。

滝の音を楽しむために作られた半露天風呂。

4カ所に設けられたテラスでは、周囲を流れる渓流の音に癒されたり、露天風呂に浸りながら満天の星を鑑賞したり、制約なしの自由な時間を過ごすことできる。食事は食材をすべて持ち込んで、キッチンやテラスのグリル台で自炊するシステム。コンシェルジュが薦める地元の店で食材をたっぷり買い込んで、気の置けない人とディナーを楽しみたい。

すみや落水邸
岐阜県高山市清見町巣野俣1614-97
Tel./0577-68-3155
料金/1室1泊66,000円~ ※2023年4月現在
https://www.sumiya-villa.com/forest/rakusuitei/


【波癒 namyu the place】 南の島の波に包まれて癒やされる

直線で構成された建物が、まるで映画のワンシーンのように空と海を切り取る。

東京大阪、名古屋から直行便で2時間20分から3時間ほど、沖縄本島から南西におよそ290km離れた太平洋と東シナ海の境目に浮かぶ宮古島は、珊瑚礁に囲まれた南の楽園。宮古ブルーと表現される大海原に面したその島の東端に、2022年5月、波癒 ナミュウ ザ プレイス(namyu the place)がオープンした。全5棟のヴィラは、周囲の美しい景観と調和するように、ナチュラルな色調でまとめられたインテリアが心地よい。それぞれにプライベートテラスとインフィニティプールを備え、まさに“波”に包まれた“癒し”の世界をもたらしている。

各棟の前面には、独立したテラスとプライベートのインフィニティプール。

建築の際に出た琉球石灰岩の景石と、在来種の植物をメインとした植栽によるガーデンでは、宮古島のサステナブルな自然を表現。愛媛・松山の「青凪」や香川・直島の「ろ霞」の作庭を手掛けたHIFUMIが担当した。

ウェルカムサービスは、南国のフルーツと琉球菓子。

滞在したゲストたちが素晴らしいと口を揃えるのが、宿泊者限定のレストラン、ラ ナミュウ(La namyu)での美食体験だ。シェフが渾身の技を尽くしたフレンチコースの夕食も、地元の食材を駆使した色彩豊かな琉球料理が並ぶ朝食も甲乙つけがたい。180度見渡せる大きな窓の外は、今まで見たこともないような美しいブルーの海。それを目前にしながらの食事は、いつにも増して会話が弾むはず。

波癒 namyu the place
沖縄県宮古島市城辺保良1145-10
Tel./0980-79-7765
料金/1人1泊93,500円~(2食付・2名1室利用)※2023年4月現在
https://namyu.miki-resort.jp/


【Nook The Peak】 24時間、海に包まれながら過ごす

「海しか見えない一日」を実現するために、海側は全面窓で設計。

ヌーク ザ ピーク(Nook The Peak)は、2022年3月12日、兵庫県南あわじ市にオープンした1日1組限定のスモールホテル。辺鄙な場所を意味する“Nook”の名の通り、ホテルが位置するのは目の前に太平洋、背後に島内最高峰の諭鶴羽山地を背負う、淡路島の最南端だ。「主役は海。建物は脇役」という考えのもと、控えめな色調でまとめられた客室には、時計もテレビもなく、壁一面の窓から見える刻一刻と姿を変える海と空が、時間の流れを教えてくれる。

バスルームも、ベッドルームも目の前は海。

リビングの大きな窓を開け放つと、そこには約100㎡の広々としたテラス。標高80mの高さからの眺めは、海との間に遮るものは何もない。室内には、足もとがそのまま海につながるベッドルームがふたつ。波間を静かに航行する船にいるかのような錯覚さえ覚える。

一日中、波音を聞いていると心身がリセットされるのがわかる。

系列のふたつの貸別荘である、同じ市内のヌーク ザ ハブ(Nook The Hub)と、隣の洲本市のヌーク ザ ワーフ(Nook The Wharf)とは、海の絶景にこだわるロケーションは共通だが、初のスモールホテルとなるヌーク ザ ピーク(Nook The Peak)の自慢は、地産地消の食材を使った朝夕の食事。淡路の周辺の海は、鯛や鯵、鱧などの魚介が豊富な漁場。島は名産のタマネギをはじめ、野菜の宝庫でもある。オーナー自ら生産者を巡り、直接仕入れた食材を駆使した料理で、島の自然の恵みを享受できる。

Nook The Peak
兵庫県南あわじ市灘土生297
Tel./080-7622-4403
料金/1人1泊44,000円~ ※2023年4月現在
https://www.noooooook.com/villa-3/

Text: Yuka Kumano Editor: Saori Asaka