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その死から1年。アンドレ・レオン・タリーの映画公開とオークション開催が決定!

『プラダを着た悪魔』でスタンリー・トゥッチが演じたナイジェルのモデルとされたファッション界のレジェンド、アンドレ・レオン・タリー。昨年1月に73歳で他界した彼のドキュメンタリー映画『アンドレ・レオン・タリー 美学の追求者』が、3月17日(金)、ついに日本公開に。そして先日、タリーのインスタグラムアカウントで、彼のパーソナル・コレクションが1月27日より、クリスティーズのオークションにかけられることが発表された。

2013年には『VOGUE』エディター・アット・ラージに就任。映画『アンドレ・レオン・タリー 美学の追求者』より。Photo: ©Rossvack Productions LLC, 2017. All Rights Reserved.

1948年に米ワシントンD.C.で生まれたアンドレ・レオン・タリーは、ジム・クロウ法(1876〜1964年に存在した人種差別的内容を含むアメリカ合衆国南部諸州の州法で、黒人の一般公共施設の利用を禁止、制限した法律の総称)の影響下にあったアメリカ南部で幼少期を過ごした。

「祖母は清貧に生きつつも、エレガントだった」

ノースカロライナ州ダーナムにあるデューク大学で清掃の仕事に従事していた母方の祖母に育てられたというタリーは、2017年に米ハフィントンポストへの寄稿で「私の良いところは、すべて祖母の価値観と慣習に由来する」、「祖母は清貧に生きつつも、エレガントだった」と語っている。真のラグジュアリーの概念を祖母に学び、幼いころに図書館で出合った『VOGUE』を通じてファッションへの関心を高めたというタリーは、1983年に『VOGUE』のニュースディレクターとなり、1988年には初のアフリカ系アメリカ人としてクリエイティブ・ディレクターに就任、1995年まで同職を務めた。アナ・ウィンターの右腕的存在としても知られ、アナと並んでフロントロウに座る姿は、長くコレクションでおなじみの光景だった。

2012年3月、ステラ・マッカートニーの2012年秋冬コレクション会場にて、アナ・ウィンターと。Photo:  Michel Dufour/WireImage

『アンドレ・レオン・タリー 美学の追求者』 監督:ケイト・ノヴァク 製作:アンドリュー・ロッシ(『メットガラ ドレスをまとった美術館』監督)   3月17日(金)、 Bunkamura ル・シネマ にて公開  ©Rossvack Productions LLC, 2017. All Rights Reserved.

独自の美学を極め、名物エディターとしてだけでなく、自伝の出版やセレブのスタイリング、映画やTVへの出演など、2022年1月に心臓発作で世を去るまで、多岐にわたって活動を続けた。アメリカでは2017年に公開された本作には、タリー本人ほか、アナ・ウィンターや親しかったデザイナーのトム・フォード、マーク・ジェイコブス、イヴ・サンローラン、カール・ラガーフェルド、ノーマ・カマリ、ヴァレンティノ・ガラヴァーニ、そしてウーピー・ゴールドバーグイザベラ・ロッセリーニ、ウィル・アイ・アム(ブラック・アイド・ピーズ)といったセレブリティにいたるまで、錚々たる面々が登場する。

タリーのコレクションがオークションに

本人の死後もなお、43万人超のフォロアーを持つタリーのインスタグラムアカウントでは、先日、もうひとつのビッグニュースが発表された。タリーのパーソナル・コレクションが、1月27日(アメリカ時間)より、クリスティーズでオークションにかけられるという。収益は、彼の人生にとって中心的な存在であったニューヨークのAbyssinian Baptist Churchと故郷ダーナムのMt. Sinai Missionary Baptist Churchに寄付される。

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Text: Yaka Matsumoto