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90歳を迎えたジェーン・グドールが教えてくれる、9つのライフレッスン

今年、90歳を迎えたジェーン・グドール。チンパンジー研究のパイオニアであり国連平和大使を務める彼女は、現在も年間300日世界を旅しながら、多くの人に希望を与え、鼓舞し続けている。そんなグドールが地球での90年間から学んだ9つの人生訓を紹介。
Vincent Calmel

ジェーン・グドール博士が、最初に『猿のターザン』を読んだのはわずか10歳のとき。大きく感化され、「アフリカに行って野生動物と暮らし、彼らについての本を書きたい」と思ったそう。その夢が叶ったのは1960年、26歳のとき、ケニアを旅行中に古生物学者のルイス・リーキー博士と出会い、タンザニア・ゴンベでのチンパンジー研究を任されることとなったのだ。

その後、生息地の破壊や違法な売買によって動物たちが脅威にさらされていることを知ったグドールは、1977年に「ジェーン・グドール・インスティチュート」を設立。現在では世界25カ所に拠点を持つ。「私たちは自然の一部であるだけでなく、自然に依存しています。人間のせいで次々と生きものが消えてしまうと、生態系は弱まりやがては崩壊する。そんな恐ろしいことが、今世界中で起こっているのです」と述べている。

グドールは、幼少期から住むイギリスのボーンマスの家を拠点にしながら、90歳を迎えてもなお、年間300日も世界中を旅することでこのメッセージを伝えている。特に、「ジェーン・グドール・インスティチュート」が行う、若者主導のアクションプログラム「Roots & Shoots」では、新しい世代に希望を与え続けており、「これこそが私の未来への希望です。だから私は生きている限り、より多くの場所に根を張り、芽を伸ばそうとしています」と話している。

そんなグドールが、地球で生きてきた90年間から学んだ、9つのライフレッスンを紹介する。

懸命に行動する

“何かやりたいことがあるなら、一生懸命に行動しなさいと母は言いました。「あらゆる機会を利用し、あきらめなければ道が開ける」このメッセージを私は世界中に伝えてきました”

共通点を見つける

気候変動を懐疑的に見て否定するような人たちとは、言い争ってはいけません。相手の人となりを理解し、何か共通点を見つけましょう。例えば、犬が好きとか、本が好きだとか。聞く耳を持たない人たちに、真っ向から議論しても意味がないのですから”

共感力を持つ

“ケンブリッジ大学に入学したとき、「優秀な科学者であるためには、研究対象に共感してはいけない」と言われました。幸い、私の側には素晴らしい先生がいて、そのような科学者は絶対に間違っていると教えてくれました”

ジェーン・グドール博士、若き研究者時代、タンザニアのゴンベにて。

Judy Goodall

親としてサポートする

“たとえその子がその夢を持ち続けられないことが明らかであっても、応援し続けること。そうすることで、子どもはいい気分でいられる。幼いときのその気持ちこそが、本当に大切なのです”

考えを変えることを恐れない

“大学生活の半ばで、(やりたいことについて)考えが変わるかもしれません。それは悪いことではなく、間違っていると感じることをやり続けてはいけないのです”

誰もが影響を与えることができる

“この地球上で暮らすということは、影響力を持つということだと、みんなに理解をしてほしいです。何を買い、何を着るか。人や動物との関わり方を考えることで、自分の与える影響を選ぶことができます”

コンゴ共和国で、チンパンジーと一緒にいるグドール博士。

JGI/Fernando Turmo

自分に正直になる

“私は自分が偉大なリーダーだとは決して思いません。人を率いようと思わずとも、ついてきてくれる人がいること。そして正直でいること。本心からの言葉と実際の行動でのみ、私は人々の心を変えられていると実感します”

すべての出来事には理由がある

“人生に偶然はなく、すべての物事には理由があると思います。そして、私たちは(誰もが)それに耳を傾けるという選択肢を持っています”

無力感を感じるときこそ、行動する

“私にとって、行動を起こし続けていることはとても重要です。だから旅をして、行動し続けている素晴らしい人々に出会うことで、たくさんのエネルギーをもらっています”

Text: Emily Chan Adaptation: Nanami Kobayashi
From: VOGUE UK