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6月は環境月間。アイデア・コンペ「NEXT ECO 100」を通して、プラスチックのない未来を想像してみよう

国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは地球のプラスチック汚染を止めるべく、アイデア・コンペ「NEXT ECO 100」のキックオフイベントを開催。今こそ知りたいプラスチックごみ問題の真実と、8月31日まで応募を受け付けているアートコンペの詳細をチェック。

作曲家・ミュージシャンのアレクサンドル・ダイ・カスタンの和太鼓演奏と、ダンサーの鈴木一琥によるプラスチック問題をテーマにしたコンテンポラリーダンスのパフォーマンス。

今、目の前にプラスチックの製品はいくつあるだろうか? ボールペンにクリアファイル、スマートフォンにイヤホン、キーボード、目覚まし用のガム……といった感じで、デスク周りを見渡しただけでも、プラスチックで溢れている。他にも、スーパーで購入する野菜など食品を包む個包装、テイクアウトの容器やカトラリー、ペットボトル、電化製品、寝具や家具、歯ブラシ、ナプキンやオムツ、そして医療機器まで、私たちの生活自体がプラスチックスープのなかにある。率直にいうと、ここまであらゆるものに七変化できるプラスチックは画期的な存在だ。

しかし、これに慣れてしまい、無関心でいることが何よりも恐ろしい──。

地球規模の深刻な問題となっているなかで、使い捨てプラスチックの利用や生産を減らすことは急務だ。EUでは2024年3月に包装廃棄物の削減に関する新法で暫定合意し、飲食店等で提供される使い捨ての皿やホテルの小型シャンプーの容器など、使い捨てプラスチックを禁止。インド政府は2022年7月1日から規制をスタートしており、トレイ、カップ、カトラリーを含む19品目の使い捨てプラスチック製品の生産や使用を禁止している。世界各国で急速にルールづくりが広がるなか、日本の対応は大きく遅れをとっている。

使い捨てプラスチックのない未来

イベント当日、アート作品の制作に取り組む桐島はんな。

国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは地球のプラスチック汚染を止めるべく、6月5日の環境の日に合わせ、アイデア・コンペ「NEXT ECO 100」を、サスティナブル・ブランディング・エージェンシー、imageMILLと共同で立ち上げた。同コンペでは、使い捨てプラスチックが無くなった未来の世界における、カフェやスーパーなどの店舗の新しいビジョンなどをテーマとしたアート作品を8月31日まで募集する。ベストアイデア賞受賞者は、2024年11月25日から12月1日に韓国・釜山で開催される、国際プラスチック条約の策定のための第5回政府間会合(INC-5)関連イベントに参加することができるという。

東京都新宿区のimageMILLのスタジオにて行われたキックオフイベントでは、アーティストや環境活動家ら約60名が来場し、インスピレーションとなるようなパフォーマンスも行われ、熱気に満ちた夜となった。初めに、NEXT ECO 100の審査員も務める作曲家・ミュージシャンのアレクサンドル・ダイ・カスタンの和太鼓演奏と、ダンサーの鈴木一琥によるプラスチック問題をテーマにしたコンテンポラリーダンスでスタート。心臓に鼓動する太鼓の音とともに、迫り来る地球の危機をおどろおどろしくも表現し、網に吊るされたたくさんのペットボトルが流れ落ちる際にはプラスチックが海に溺れるようすを想起させた。

また、会場には絵の具や色鉛筆、墨汁、キャンバス、画用紙など、さまざまな画材が用意され、参加者は廃プラスチック問題と向き合い、思い思いのビジョンをアート作品に込めた。さらに、イベント後半には、書道家の渡邉富嶽が古代文字の「保」を描く書道パフォーマンスも行われ、人が子を守るような漢字の成り立ちに込めて「環境保護」のメッセージへと昇華した。

日本は世界最大のプラスチックごみ輸出国

書道家の渡邉富嶽による書道パフォーマンス。

「プラスチックは、『気候変動』『自然・生物多様性の損失』『汚染と廃棄物』と、地球の三重の危機全てに影響しています。全プラスチックの99%は化石燃料からできているため、今の傾向が続けば、プラスチックの生産量は2050年までに3倍になり(2015年比)、これは石油消費量の20%に値します。地球温暖化や気候変動について、エネルギーの問題にフォーカスされることが多いですが、プラスチック生産も等しく地球環境に大きな影響を与えていて、世界の年間炭素予算の15%を占めることになります」

現代社会の問題と必要な解決策について解説したグリーンピース・ジャパンのプラスチック問題担当、大館弘昌によると、日本の廃プラスチックの約半分は容器包装類で、一人当たりの容器包装プラごみ排出量はアメリカについで“世界2位”(UNEP 2018)。さらに、“OECD非加盟国への世界最大の廃プラスチック輸出国”は、ここ日本だという。バーゼル条約によって廃プラスチックの輸出入規制が施行されたものの、先進国は引き続きマレーシアやベトナムなどOECD非加盟国に大量のゴミを輸出し続けている。とりわけ日本の最新の輸出量は54万1897トンと、次に多いアメリカの15万5388トンを大きく上回っていて、他国が削減対策を講じるなか、目立って対策が遅れているといえるだろう(Basel Action Network 2023 Annual Summary)。人々への健康被害は深刻であると同時に、毎年数十万もの海洋生物もプラスチック汚染によって亡くなっている。

プラスチックを辞め、捨てる文化から、借りる・返す文化へ

こうした問題から明らかになってくるのは、リサイクル神話の限界だ。世界では9%しかリサイクルされておらず、不適切に処理されたものは22%を超え、こうしたものが自然界へと流れ出ている。日本においてもマテリアルリサイクルは21%と全体の2割程度に過ぎない(エネルギー回収63%、ケミカルリサイクル3%、埋め立て6%、単純焼却8%)。そのため一番の解決策は、そもそもの生産量を減らしていくことだという。

「優先すべきは、発生の抑制や大幅な削減(リデュース)と再利用(リユース)、そして詰め替え(リフィル)への移行です。リユース容器のシェアリングを推進するMEGLOOなどの国内外のビジネスを例に、こうしたリユースが拡大すれば、リユースの拡大は、自治体の廃棄物管理コストを削減し、ビジネス機会を創出し社会経済的なメリットも生み出します。『捨てる文化から、借りる・返す文化へ』──こうした循環型の市場を持つ未来を、創造していきましょう」

<NEXT ECO 100 応募概要>
募集テーマ/コンビニ、カフェ、スーパーなど、身近なお店からプラスチックがなくなったら? あなたが考える、使い捨てプラスチックのない未来の姿を作品にしてください
応募期間/2024年6月5日(水)〜8月31日(土)
参加対象/年齢・性別不問(グループ応募可。未成年の場合は保護者の同意のもと応募ください)
作品形式/未発表、オリジナルのイラスト、文章、彫刻、デジタル・アート、アニメーション、動画など。提出の際に画像や音声等へ変換し、フォームに添付できるものであれば何でも自由。(※生成AI(Adobe Expressのみ)の使用も可。内容が差別的・暴力的と捉えられる作品は、審査・公開の対象外とする場合があります)
提出方法/公式サイトの応募フォームより作品を添付してお送りください
公式サイト/https://www.nexteco100.org/

Photos: Thomas Shagin / Greenpeace Text: Mina Oba Editor: Nanami Kobayashi