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ユマ・サーマンが問いかける、女の一生で最良のタイミングと選択【VOGUE BEAUTY NEXT】

1970年4月29日、アメリカ・ボストンに生まれ育ち、80年代にUS版『VOGUE』等でモデルとしてキャリアをスタートしたユマ・サーマン。その後映画『パルプ・フィクション』(1994)で俳優として世界的にブレイクした彼女が、3人の子の母親として世の女性たちに問いかける人生で最良のタイミングと選択とは。※2024年12月8日(日)に、Z世代とともにプロデュースする、新世代イベント「VOGUE BEAUTY NEXT」を開催。新しい美の価値観を発信するコンテンツが満載の特設サイトもチェックして。
ユマ・サーマンが問いかける、女の一生で最良のタイミングと選択
Photo: Stephane Cardinale - Corbis/Getty Images

「娘のマヤを妊娠していたとき、私はグリニッジ・ヴィレッジのブラウンストーンに住んでいました。近所に同い年の友人が一人住んでいたのですが、妊娠してナーバスになっていた私は「どうやって赤ちゃんを迎える準備をすればいいの? 何が必要なの?」とよく聞いていたことを思い出します」

2023年10月、ブロンドのロングヘアを後ろで一つにまとめ、TシャツにブルーのスカートというカジュアルなスタイルでアメリカNBCの番組「The Tonight Show Starring Jimmy Fallon」に出演したユマ・サーマンは、今日54歳の誕生日を迎えた。Netflixシリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」でロビン役でお馴染みの俳優/ミュージシャンの娘、マヤ・ホークを妊娠していたときのエピソードを番組中で語った彼女は、終始同業者である娘と息子レヴォンへのサポートの言葉と思いを語るなど、子どもを最優先に考えていることをうかがわせた。

2023-24年秋冬ミラノファッションウィーク中、フェラガモのショーに訪れたユマ・サーマン。控えめなアイラインとツヤを出しただけのメイクが、美しい顔立ちをより引き立てて。

Photo: Stefania D'Alessandro/Getty Images

2015年、旬の俳優&ミュージシャンで長女のマヤ・ホークとともにミュウミュウのリゾートコレクションのショーに出席。

Photo: Julien M. Hekimian/Getty Images

第76回カンヌ国際映画祭でのジョニー・デップ主演の最新作『ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人』(2023)のプレミアにて。俳優で息子のレヴォン・サーマン・ホークとの美しきツーショットが話題に。

Photo: Pascal Le Segretain/Getty Images

ユマといえば、1995年の第67回アカデミー賞授賞式で着用したプラダPRADA)のラベンダー色のドレス着用し、一躍同ブランドの名を世界に知らしめたファッショニスタとしても有名だ。その後もアルベルタ フェレッティALBERTA FERRETTI)を始め、さまざまな授賞式で着用したドレスが大きな注目を集める一方で、資生堂インウイINOUI)、ランコムLANCÔME)、ジバンシイ(GIVENCHY)などビューティーのビッグメゾンの顔を務め、その無二の美しさで世界を魅了したトップモデルでもある。

『パルプ・フィクション』(94)で助演女優賞にノミネート。長身を生かしたプラダのモダンなガウンの着こなしが注目を集めた、1995年アカデミー賞授賞式にて。

Photo: Jeff Kravitz/Getty Images

主演映画『キル・ビル Vol.1』(2003)のプレミアで、黄色いトラックスーツに日本刀を構える有名な劇中のアイコニックなポージングを披露。

Photo: Dimitrios Kambouris/Getty Images

そんな彼女は、映画『キル・ビル Vol.1』(2003)の撮影中、自動車スタントを自ら行ったことから首と膝に大怪我を負い、現在も苦しめられていることを2018 年の「ニューヨーク・タイムズ」のインタビューで語っている。そして、この件についてのちに監督のクエンティン・タランティーノから「人生最大の後悔」という誠心誠意の謝罪があったこと明かした彼女は、二人の仲は現在も変わることなく順調であり、互いに再びタッグを組む日を楽しみにしているとインスタグラムからファンに向けてメッセージを投稿した。

「私は、道は直線だから危ないことはないから大丈夫だと彼女に言いましたが、実際はそうではなかった。彼女は私を信頼していたから、自分からスタントなしで運転すると言ってくれたのに……本当に、私は彼女を裏切るようなことをしてしまいました」

のちに監督のクエンティン・タランティーノは事故についてこのように触れ、「自身の人生最大の後悔」と呼んだ。が、それを知ったユマは後にインスタグラムで彼の謝罪を受け入れたことや、再び仕事をすることが楽しみだと投稿し、二人の仲は変わることなく順調であることを明かした。

一時は交際も噂されたほど仲のいいユマ・サーマンとクエンティン・タランティーノ。

Photo: George Pimentel/Getty Images

また同じインタビューのなかで、彼女は1994年にロンドンのサヴォイホテルハーヴェイ・ワインスタインと、直後に20歳以上も離れた別の年上の男から性暴力を受けたことを告白し、世界に衝撃を与えた。

10代で経験した“事故による”妊娠・中絶

「15 歳で俳優としてのキャリアをスタートした私は、撮影現場に行くといつも子どもは私だけ、という状況でした。そんな中、私は10代ではるか年上の男性との子どもを“事故”で妊娠してしまいました。当時私は仕事のためにヨーロッパで生活していたので、本当にこの先どうすればいいのか悩みました。それでも、赤ちゃんを産みたいと思いましたが、駆け出しの俳優だった私に何ができるというのでしょう?」

60年代に『VOGUE』等で活躍したスーパーモデルの“ニーナ”(ブリジット・キャロライン)・フォン・シュレプルゲを母に、チベット仏教研究の第一人者であるロバート・サーマンを父に持つユマは、仏教色の強い家庭で生まれ育った。学校時代は“ユマ”という比較的珍しい響きの名前と外見でからかわれることが多く、内向的で特に鼻の形に悩んでいたことから身体醜形障害に苦しめられていたいう。だが、そんな彼女の苦しみは15歳の時にモデルにスカウトされたことでようやく終わりを迎える。

その後自分の個性と美しさを受け入れられるようになり、それまで自分を苦しめていたさまざまな“思い込み”から解放された彼女は、俳優デビュー後からヒット作を連発。そして、トップ俳優としての地位を揺るぎないものにして久しい2021年、アメリカ・テキサス州で起きた大規模な中絶禁止法反対運動が起こる中、「Washinton Post」に前述の中絶体験を告白した。

「私は、家族に相談するためヨーロッパから電話しました。当時母は重病で入院中でしたが、 父がこのことについて話し合うため、病室に行ってくれました。私たちは、これまで家族でセックスについて話したことがなかったので、初めてのことに皆とても困惑しました」

当初は、“事故”による妊娠であることや、俳優としての成功が保証されていないこと、さらに今後も生活費を稼げるあてがないことを自覚しながらも、母性一つで産む決断をしていたというユマ。だが、両親から再三痛いところを突かれた彼女は、最後まで葛藤しつつも、そのときは中絶が正しい選択であるという結論に達したという。

ユマ・サーマンの豊かな知性と感性は、アメリカでは珍しい仏教色豊かでユニークな家庭環境によって育まれた。

Photo: Evan Agostini/Getty Images

産むか、産まないか──女の一生における選択とは

3人の子どもたちとともに映画『アステロイド・シティ』(2023)のプレミアへ。

Photo: Nina Westervelt/Getty Images

「私は、これまでこの“暗い秘密”をひた隠しにしてきました。この話をしたところで得るものはなく、むしろ失うものの方が多いことが分かっていたからです。ですが今私は50代を迎え、私の誇りである3人の子どもたちを育ててきたからこそ、この話を打ち明けるべきだと思ったのです。そして、出産や妊娠の時期や、産むか産まないかで悩む他の多くの女性たちのためにも」

かつて“諸事情”が許さず、一度は出産のタイミングを逃した彼女だったが、キャリアがようやく軌道に乗った時、最初の夫イーサン・ホークとの出会いが訪れた。そして、彼との間にマヤとレヴォンの二人の子どもをもうけ、後にフランス人金融専門家アルパッド・ブッソンとの間の一人娘ルナを設けた彼女は、3人の子どもの母親となった。

“私が勇気を持ってこの世に送り出した子どもたちは、全て私が信頼していた男性たちとの間に自信を持って設けた子ども”だと語るユマ。そんな彼女は、妊娠や出産においてタイミングが合わなかったり、諸事情等で“別の選択”をする女性たちに向けて、こんなメッセージを送っている。

「10代の頃の中絶は、私の人生で消えることのない苦悩であり、悲しみです。ですが一方で、この決断があったからこそ私は成長し、望んだ母親になることができたのだと思っています。世の中には産むことができない、または一生産まない選択をする女性たちがたくさんいます。だからどうか、どんな決断でも勇気を持って下したのなら誇りに思ってください。どんなときも、あなたの体はあなたのものなのですから」

参考文献:
https://www.nbc.com/nbc-insider/uma-thurman-on-being-maya-hawkes-mom-and-why-parents-need-support-too
https://www.washingtonpost.com/opinions/2021/09/21/uma-thurman-abortion-law-texas/#:~:text=In%20her%20doctor's%20office%20in,felt%20I%20deserved%20the%20pain.
https://www.nytimes.com/2018/02/03/opinion/sunday/this-is-why-uma-thurman-is-angry.html