スターたちが勢ぞろいするパーティーであり、アワードシーズンの幕開けを告げるゴールデン・グローブ賞。しかし今年は新型コロナウイルスの影響で、まったく異なる様相を呈しそうだ。もちろんこの賞が、後に控えるオスカーへの弾みをつけたい俳優や監督、プロデューサーたちにとって重要であることに変わりはない。授賞式に先立ち、日時や会場、候補者など、これまでに明らかになっている詳細をおさらいしよう。
通常、授賞式は1月初旬に開催されるが、第78回ゴールデン・グローブ賞はパンデミックにより延期され、2021年2月28日20時(東部時間) から開始となる予定だ。2月28日と言えば、今年のアカデミー賞の当初の開催日だったが、同賞の開催は2021年4月25日に延期されている。ゴールデン・グローブ賞の後には、3月7日の放送映画批評家協会賞、4月4日の全米映画俳優組合(SAG)賞、そして4月11日の英国アカデミー賞(BAFTA)と続く予定だ。
昨年の歯に衣着せぬ毒舌で大好評だったリッキー・ジャーヴェイスからホストの座を引き継いだのは、ティナ・フェイとエイミー・ポーラーだ。彼女たちは、2013年、2014年、そして2015年にも司会を務めており、キャスリン・ビグローとジェームス・キャメロンの結婚から、メリル・ストリープの記録破りの連続受賞などについて、グッドジョークを飛ばしてくれた。4回目となる今年も、私たちを大いに笑わせてくれるだろう。
また昨年『ジョーカー』(2019)でドラマ部門の主演男優賞を受賞したホアキン・フェニックスや、『ジュディ/虹の彼方に』(2019)で主演女優賞を受賞したレネー・ゼルウィガーらが、プレゼンターを務めることも発表された。
>ブラピやホアキンも! 2020年ゴールデン・グローブ賞を沸かせた受賞者たち、総まとめ。
例年の授賞式との大きな違いの一つは、ロサンゼルスとニューヨークの二都市が舞台となることだ。ティナ・フェイがニューヨークの会場であるレインボールームから、エイミー・ポーラーが例年の会場であるロサンゼルスのビバリーヒルトンホテルから、それぞれ司会を務めることになっている。
現在のところ、候補者がリモート出席するのか、もしくは実際に会場に現れるのか明らかになっていない。だが、新型コロナウイルスのパンデミックが収まらない中、完全あるいは部分的にバーチャル開催となることが予想されている。また今年は、スパイク・リー監督と妻トーニャ・ルイス・リーの娘サッチェルと息子ジャクソンが、授賞式でアンバサダーを務めると発表されている。
>スパイク・リーの子どもたち、ゴールデン・グローブ賞のアンバサダーに選出。
今年のノミネーション作品は、現地時間の2月3日にZoomを通じて、サラ・ジェシカ・パーカーとタラジ・P・ヘンソンによって発表された。映画部門・テレビ部門ともに、Netflixの作品が席巻している。
映画部門では、デヴィッド・フィンチャー監督『Mank/マンク』がドラマ部門の作品賞をはじめ、ゲイリー・オールドマンの男優賞、アマンダ・サイフリッドの助演女優賞、監督賞など最多6部門の候補に挙がった。監督の父親であるジャック・フィンチャーも脚本賞にノミネートされ、親子受賞に期待が高まる。本作は、1941年の名作映画『市民ケーン』でアカデミー賞脚本賞を受賞した脚本家、“マンク”ことハーマン・J・マンキウィッツの伝記で、名作誕生の壮絶な舞台裏を描く。
またエディ・レッドメイン、ジョセフ・ゴードン=レヴィットらの豪華競演で話題となった『シカゴ7裁判』が作品賞や監督賞など5部門、サシャ・バロン・コーエンの『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』が3部門で候補入りと、健闘している。
一方のテレビ部門では、Netflixのオリジナルシリーズ「ザ・クラウン」が6部門でノミネートされた。同作でチャールズ皇太子を演じるジョシュ・オコナーがドラマ部門主演男優賞、エリザベス女王役のオリヴィア・コールマンとダイアナ妃役のエマ・コリンが主演女優賞、マーガレット・サッチャーがハマり役だったジリアン・アンダーソンとマーガレット王女役のヘレナ・ボナム・カーターが助演女優賞など、主要キャラクターの大半が候補入りを果たした。同作としのぎを削るのは、ローラ・リニーの女優賞やジェイソン・ベイトマンの男優賞など、計4部門でノミネートされている「オザークへようこそ」だ。
また、すでに受賞者が発表された部門もある。一つは、エンターテイメント界への多大な功績を称えるセシル・B・デミル賞で、ジェーン・フォンダが輝いた。過去の受賞者には、トム・ハンクス、オプラ・ウィンフリー、バーブラ・ストライサンド、そして今年の受賞者の父親であるヘンリー・フォンダがいる。
ハリウッド外国人映画記者協会のアリ・サー会長は、声明の中でこう述べている。
「50年以上にわたるジェーンの幅広い活動は、不屈の精神に支えられてきました。自身のプラットフォームを活用し、我々の時代における最も重要な社会問題に光を当ててきたのです。彼女はその否定しがたい才能で、最高レベルの認識を獲得しました。彼女のプロフェッショナルとしての人生には紆余曲折がありましたが、変化を起こそうという揺るぎない姿勢が変わることはありませんでした」
そしてもう1部門は、今年で設立3年目となるキャロル・バーネット賞。ホームコメディの王、ノーマン・レアが栄えある3人目のパイオニアとして、バーネット本人とエレン・デジェネレスに続いた。レアは「All in the Family」(1971〜1979)と「Sanford and Son」(1972〜1977)をはじめ、多数の名作シットコムの生みの親として知られる。
>第78回ゴールデン・グローブ賞のノミネーションが発表。その顔ぶれは?
Text: Radhika Seth
