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現代のシンデレラ、ドーチーが「ドン底」から「美しきアイコン」に上り詰めるまで【セレブ美容探偵】

今回のパリコレで、世間はひとりの女性が時代のアイコンに変身する瞬間を目撃した。今年2月にグラミー賞アーティストとなったラッパーのドーチーが、フロントロウの女王へとトランスフォーム。その華麗な変身を、セレブウォッチャー・さかいもゆるがレポート。

スキャパレリのドレスを纏って。Photo: GC Images/Getty Images

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今月開催されたパリファッション・ウィークで、またひとり新たなアイコンが生まれた。それは2月に初グラミーを獲得したドーチー。ルーヴルでの晩餐会を皮切りに、連日、一流デザイナーのワードローブをあらゆるヘアメイクで着こなした彼女。それは今までの彼女のイメージを覆すほどの見事な変身ぶりで、今回のパリコレで最も注目されたセレブと言ってもいいだろう。“イット・ガール”とはこうして生まれるのかと、それを目の当たりにして感動してしまった。

着こなしが難しそうなヴァレンティノのイエローのドレスを堂々と。Photo: Swan Gallet/via Getty Images

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これまでもドーチーはおしゃれだった。コーンローヘアに、自らを「ヒップホップの生徒」と呼ぶ彼女の好きな、学生テイストの着こなし。独特のスタイルを持っていて、グラミー賞のパフォーマンスでも、ハーフパンツにテーラードジャケット姿で激しいダンスを披露して会場のセレブたちを熱狂させていた。あの瞬間、彼女はスターになったのだ。

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そして今回のパリコレ。スタートなった彼女に、メゾンたちは最高級の衣装を提供し、ドーチーはそれに相応しいヘアメイクで見事に着飾って見せた。まずは現地時間3月4日のル・グラン・ダイナー・デュ・ルーヴルでは、ひと晩に4着のアウトフィットにチェンジ。スパンコールが飾られた、ヴァレンティノのイエローのドレスで到着。ヘアゴールドの3Dネイルに、暗めのグロッシーなリップを。スリークなアップヘアと相まって、気高いプリンセスのようなエレガントなムードを放っている。

ギークでセクシーなアンビバレントなスタイル。アクネのフロントロウより。Photo: Getty Images

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3月5日のアクネ・ステューディオのフロントロウでは、コーンローを両サイドにお団子ヘアにして後れ毛を遊ばせた軽やかなスタイル。グリーンのグリッターアイシャドウに、ダークなリップライナーでメリハリを効かせたメイク。同日のトム・フォードの会場には、ディーバにブームの姫カット、そしてスモーキーアイでガラリとクールな印象に。

ボディスーツとリップライナーの、シックかつ大胆なドレスアップ。トム フォードの会場より。Photo: REX/AFLO

JM HAEDRICH/SIPA/Shutterstock

3月6日のクロエのフロントロウでは、ラグジュアリーなボヘミアンドレスに、メタリックなブロンズカラーのペディキュアを施して、裸足で現れた。コーンローのスーパーロングヘアが、ロマンティックなムードを盛り上げている。

クロエの会場で。ボヘミアンなスタイルにレッドチークがマッチ。Photo: Getty Images

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そして最後のスキャパレリでは、かつてシャーリーズ・セロンが着用したのと同じ、デニムのコルセット付きのホワイトホールターネックドレスを。ボリュームあるカールヘアでハリウッドグラマー風に――と、ヘアメイクも七変化。

堂々としたオーラを含め圧倒的に美しい。Photo: River Callaway/WWD via Getty Images

River Callaway

5年前にはインスタグラムで「失業しちゃった」と無職になったことをフォロワーに打ち明けていた彼女が、ここまで上り詰めると、誰が想像しただろうか。自分の能力をあきらめず信じ続けたからこそ、パリコレという晴れの場で輝くことができたドーチー。一流のヘアメイクアーティストにスタイリストたちの腕はもちろんのこと、自信というのはここまで人のオーラを変えるのだと、改めて思った。

よくセレブの名言で「セクシーとは自信を持つこと」と聞くけれど、それって真実で。人を圧倒するのは、もしかしたら、生まれ持った容姿よりも、マインドセットの方が大きいのかもしれない。

Text: Moyuru Sakai Editor: Toru Mitani

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