LIFESTYLE / GOURMET

愛の力でサステナブルな未来をつくろう! 2024年のバレンタインに贈りたい、ソーシャルグッドなチョコレート

バレンタインデーは恋人や友人、家族への感謝や愛を伝える絶好の機会。そこに地球規模の課題に対する想いやアクションも乗せられたら最高! というわけで、気候変動や人権問題など、さまざまなソーシャルイシューに真摯に取り組むブランドのチョコレートを紹介。
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Black background, copy spaceEujarimPhotography / Getty Images

芳醇な香りにイノベーティブなアプローチ、美しいデザイン──バレンタインシーズンになると、街のそこここに人気ブランドやショコラティエたちの創意工夫が輝くチョコレートがずらりと並ぶ。贈りたい相手のことを考えながらあれこれ迷うのは楽しいけれど、ちょっと待って。こうしたジュエリーのようなチョコレートが児童労働によって支えられているとしたら……?

シカゴ大学の調査によると、カカオ産業に従事している18歳未満の児童労働者は、世界一のカカオ生産国コートジボワールで79万人、ガーナでは77万人いると言われている。こうした児童労働は子どもたちの教育機会を奪い、結果的に貧困が次の世代へ連鎖していく原因になっている。さらには、搾取や森林破壊などあらゆる深刻な社会問題の温床でもある。私たちがコスト効率を優先し続ける限り、この根深い問題が解消されることはないだろう。

一方で、こうした問題に光を当て、解決への一助となる動きも生まれている。サプライチェーン人権に配慮した商品や、社会問題を解決する仕組みづくりをサポートしている企業が手がけるチョコレートだ。今年のバレンタインはちょっと“Woke”なチョコレートを選んで、皆で問題について知り、取り組む機会につなげよう。

VANILLABEANS/フェアトレード歴17年。ガーナでの学校建設から、能登半島地震の被災地支援まで

バニラビーンズ(VANILLABEANS)のショーコラ(左)とパリトロ(右)。Photo: Keisuke Saito / Vanilla Beans

濃厚なガナッシュをチョコレートでコーティングした生チョコを、さっくりと焼いたバターのクッキーに一つひとつ手作業で挟んでつくる生チョコサンド「ショーコラ」をはじめ、アロマ引き立つリッチなチョコレートが人気の「バニラビーンズ(VANILLABEANS)」。味への徹底したこだわりだけでなく、透明性や公平性の観点を大切にしながら原料調達を行っている。

2007年から日本でいち早く本格的にフェアトレードチョコレートの導入を開始し、2010年にはチョコレートのすべてをフェアトレードにすることを実現。また、2008年には「ガーナ・ネクスト・スマイル・プロジェクト」をローンチし、製造工程で割れたものや賞味期限の近い商品を“訳あり商品”としてオークションで販売し、その売上を元手にガーナに学校を建てるという壮大な計画が走り出した。そしてオークションを390回ほど重ね、2015年5月に学校が完成。オークションに参加した人々の名前が、その学校のレンガに刻まれているという。2017年以降は、原産国の女性たちが対峙する低賃金労働やジェンダーギャップなどの問題を解決していこうと、「農園のお母さん応援プロジェクト」に取り組み、女性たちと一緒に考えながら、生活の基盤を作っていく環境づくりに取り組んでいる。

また、東日本大震災やコロナ禍など、未曾有の災害時にもすぐに自社プロダクトを寄付するなど、チョコレートを通してさまざまな場面でソーシャルグッドな取り組みに心血を注いでいる。1月1日に発生した能登半島地震をうけて、キャラメルを混ぜ合わせたガナッシュに輪島の塩をちりばめたプチショコラケーキ「パリトロ・Wajima」を発売。1月20日の発売からわずか3日間で1600セットが完売し、売上の100%を能登半島地震の被災地に寄付するという。

バニラビーンズ みなとみらい本店
場所/神奈川県横浜市中区海岸通5-25-2シャレール海岸通1F
問い合わせ先/045-319-4861
https://www.vanillabeans.yokohama/

imperfect/買い物は投票だ。森を守り、学びをサポートする変革者ブランドのフルーツチョコレート

インパーフェクト(imperfect)のしみこみショコラ。

生産地の貧困や搾取、環境問題など、世界の食と農をとりまく社会課題のソリューションとなるプロダクトを販売する「インパーフェクト(imperfect)」。商品を購入すると、ガーナやコートジボワール、ブラジルなど生産地の森林保全や農業教育、ジェンダー平等を実現する3種類のプロジェクトへ投票することができる。新宿マルイや京都高島屋などでもポップアップイベントを開催し、コーヒー豆などを使った食材や食品を提供するだけでなく、それらが作られる過程に存在する環境や貧困などの社会課題を消費者と共有するためプラットフォームとしての役割もある。実際に、ブラジルのコーヒー農園で働く女性たちをエンパワーメントするプロジェクトに多く票が集まり、売上金を活用して2021年9月から、女性の学びをサポートする取り組みが遂行されている。

スイーツ需要が高まるバレンタインには、森の保全に取り組みながら生産されたホワイトチョコレートを、フリーズドライのとちおとめと日向夏にじっくりと浸みこませたフルーツチョコレートを発売。食べごろの時期に収穫したフルーツをフリーズドライにし、おいしさを長持ちさせることでフードロス削減にも繋がり、皮や種までまるごと楽しめる。

imperfect
https://imperfect-onlinestore.com/shop

LITTLE MOTHERHOUSE/生態系を豊かに保つアグロフォレストリー農法のカカオを使った、彩り豊かな粒チョコレート

途上国から世界に誇るブランドを作る「マザーハウス(MOTHERHOUSE)」は、バッグやアパレルなどのファッションアイテムだけでなく、「食」をテーマとしたブランド「リトル マザーハウス(LITTLE MOTHERHOUSE)」を2021年2月にローンチ。東京・銀座に位置するチョコレート工房を併設したファクトリーショップでは、チョコレートブランド「Dari K」とコラボレーションし、インドネシアのスラウェシ島のカカオを使ったチョコレートやフィナンシェなどを販売している。1月19日より、日本の四季を表現した粒チョコレート「Rin IRODORI CHOCOLATE」を発売。
「イロドリチョコレート」を作る過程で生み出されるチョコを、米100%を素焼きにした「ぶぶあられ」にコーティングし、それぞれの季節をイメージした3種類の美味しさを一つの缶に詰めた。2つのフレーバーが調和して生まれる新たなチョコレートの味わい、あられのカリッとした食感を楽しめる。

ここで用いられているカカオは、アグロフォレストリーと呼ばれる混植農法によって栽培されている。カカオと一緒にさまざまな果物の木を植えることで生態系を豊かに保ちつつ、気候変動によるカカオの収穫量減少に対するリスクヘッジにもなる。カカオの圧搾からココアバターの発酵、そこに自然由来の味や香りなどをブレンドしてチョコレートとして加工するまでの工程を、現地農家とともに行っている。

LITTLE MOTHERHOUSE
〒104-0061 東京都中央区銀座3-9-11 紙パルプ会館1F
問い合わせ先/03-6264-3031
https://www.mother-house.jp/little/

MAISON CACAO/コロンビアの人々が安心して生活ができる環境づくりを目指して。とろけるアロマ生チョコレート

メゾンカカオ(MAISON CACAO)のアロマ生チョコレート。

ふわりととろけ、カカオのフルーティーなアロマと苦味が口に広がる、「メゾンカカオ(MAISON CACAO)」のアロマ生チョコレート。日本人の唾液量は欧米人の半分以下だそうで、水分量を極限まで高めていることからこの滑らかな口どけが生まれるそう。華やかなパッケージのアートにも心が躍り、フレーバーも多種多様で迷ってしまうほどだ。

メゾンカカオのメソッドは、地球愛にも溢れている。生物多様性が豊かでミネラル豊富な土壌が育つコロンビアは、カカオ栽培に適した土地である一方で、麻薬の原料とされるコカも栽培しやすい環境だと言われているため、大麻大国としての一面もあり、密売人が出入りするなど治安の悪化も懸念されている。そこで、この地のカカオ生産がこれからも永続的に続いていくようにと、メゾンカカオはこの地で自社管理農園に着手。カカオの木が増えることは、コカの木が減ることを意味し、その地で暮らす人々が安心して生活ができる環境づくりへと実を結んでいる。今では二つの自社管理農場を有し、雇用の促進によって貧困や犯罪が減少しているという。さらに、農地の近くには学校を開設し、これまで経済的な理由などで学校に通えなかった子どもたちが教育の機会を得られるようにも。学校ではアートや音楽、スポーツなどの情操教育にも力を入れている。2022年には自然環境の保全や地域の人材育成をより強固なものにしていくべく「メゾンカカオ財団」を創設した。日本国内の生産者らとのコラボレーションアイテムも多く、変化し続けるコレクションの数々に飽きることはないだろう。

メゾンカカオ鎌倉小町本店
〒248-0006 神奈川県鎌倉市小町2-9-7
https://maisoncacao.com/

QUON x momiji/色彩豊かな社会をつくるショコラトリーと、自然と人間の共存する社会を目指す松山ケンイチと小雪によるアップサイクルブランドがコラボ

QUON CHOCOLATE x momiji のコラボチョコレート。2月1日よりジェイアール名古屋タカシマヤにて発売開始予定。

「全国夢のチョコレートプロジェクト」と題し、障がい者や障がい者事業所、とともに社会参加と自立、そして所得の向上などに取り組んできた久遠チョコレート(QUON CHOCOLATE)。現在は全国に60の拠点と40店舗を展開し、障がいのある方だけでなく、さまざまな悩みを抱える若者や、子育てや介護をしながら仕事の両立を目指す人など、多様な個性が織りなす色彩豊かな社会づくりの拠点の場となっている。また、QUONは、有機農法と森林農法をベースにした農園管理やフェアトレードを行う、KAOKA社のカカオを使用し、素材へのこだわりも強い。

そんなQUONと、俳優の松山ケンイチと小雪によるアップサイクルライフスタイルブランド「モミジ(momiji)」が今回タッグを組み、コラボチョコレートを発売する。自然と人間の共存を目指し自然な農法で野菜などを育てる松山が、丹精込めてつくったホーリーバジルをQUONのチョコレートに合わせた。ホーリーバジルは、ストレスへの抵抗能力など心身を整える働きのあるアダプトゲンハーブとも言われるハーブで、甘さと苦味のバランスが良い。茎や葉、花も含めてすべて使い切るようにチョコレートと組み合わた。また、チョコレートには有害鳥獣駆除によって捕獲された鹿の皮から作られた鹿革紙に、松山が絵を描いたアートが添えられている。絵に込めた思いを、松山はこう語る。

「自然の中で健やかに育っている植物たちの中に道ができています。この道は原始の時代からある道で、さまざまな時代の先人たちが歩いてできたモノ。けれど今は、誰も歩いていません。この道の先には暖かな光があるけれど、誰もこの道を使いません。誰も使わなくなった道を、植物たちは次に歩く誰かのために道を静かに守っています。僕はこの道を久遠チョコレートで働く人たちと一緒に歩いて行きたいと考えています。そう思い、この絵が出来上がりました」

久遠チョコレート豊橋本店
〒440-0897 愛知県豊橋市松葉町1-4
https://quon-choco.com/

La Maison du Chocolat/植物由来にこだわった、ヴィーガンガナッシュという選択肢

ラ・メゾン・デュ・ショコラ(La Maison du Chocolat)のガナッシュ ビーガン。Photo: 中村麻菜

ヴィーガンスイーツを選ぶことも、ソーシャルグッドな取り組みのひとつ。動物を搾取しないだけでなく、畜産業によって排出されている温室効果ガスを減らすことにも繋がる。1977年創業の「ラ・メゾン・デュ・ショコラ(La Maison du Chocolat)」の「ガナッシュ ビーガン」は、動物由来の原材料を使用していないコレクション。カシス、レモン、フランボワーズ、オレンジ、パッションフルーツといった既存5種のフルーツとチョコレートのバランスが絶妙。クリーミーさを出すためにヘーゼルナッツオイル、またチコリの繊維でテクスチャーを支え、シルクのような滑らかでとろける口溶けも魅力だ。

ギフトボックスは、従来のパッケージに比べて厚みを減らし、プラスチックから紙製の仕切りへと変更。更にリボン以外は、100%リサイクル可能なギフトボックスで、ショッパーはポリエステル製の持ち手を廃止し、エコフレンドリーな取り組みも実施している。

ラ・メゾン・デュ・ショコラ 丸の内店
〒100-0005 東京都千代田区丸の内3-4-1新国際ビル1F
問い合わせ先/03-3201-6006
https://www.lamaisonduchocolat.com/ja_jp

Text: Mina Oba

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2025年バレンタインチョコレートには何を選ぶ? 人気ブランドのおすすめ総特集

ジャン=ポール・エヴァン(JEAN-PAUL HÉVIN)、ピエール・マルコリーニ(PIERRE MARCOLINI)、ゴディバ(GODIVA)などの人気ブランドから、オンラインでも購入できるおすすめチョコレートを厳選。完売必至のバレンタイン限定チョコレートも、オンラインで予約をしておけば、店舗で並ぶ必要も、売り切れの心配もなし!

2025 バレンタイン チョコレート