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『ANORA アノーラ』ショーン・ベイカー監督、「劇場体験が脅威にさらされている」【アカデミー賞2025】

第97回アカデミー賞で最多5部門に輝いた『ANORA アノーラ』のショーン・ベイカー監督は、映画館が減っていることに危機感を覚えていると明かし、劇場公開用映画を作り続けることを約束した。
Photo: Gavin Bond/Getty Images

3月2日(現地時間)に開催された第97回アカデミー賞で、最多5部門に輝いた『ANORA アノーラ』。脚本賞と編集賞に続き監督賞を受賞したショーン・ベイカー監督は、映画館が「脅威に晒されている」と警鐘を鳴らし、劇場向け映画を作り続けることをスピーチで宣言した。

「今夜我々がここに集まり、また皆さんが放送を観ているのは、ひとえに映画を愛しているからです。映画と恋に落ちたのはどこですか? 映画館ではないでしょうか。映画館では、ほかの観客とともに一つの体験を共有できます。共に笑い、泣くことができる。世界の分断を感じる昨今、これまで以上に重要性が増しています。これは自宅では得られない共同体験です。そしてまさに今、劇場体験は、脅威にさらされています」

「映画館、特に独立系の映画館は苦戦しています。パンデミックの間にアメリカ国内で1000ものスクリーンが失われました。今後もその数は増え続けるでしょう。この流れを逆転させなければ、私たちの文化の大切な部分が失われてしまいます。これは私の雄叫びです。フィルムメーカーの皆さん、劇場公開用映画を作り続けましょう。私もそうすることを約束します」

「配給会社の皆さん、どうか劇場公開を第一に考えてください。映画スタジオNeonは僕のために、そうしてくれました。心から感謝しています。親御さんたちは、お子さんたちに劇場で映画を観せてあげてください。次世代の映画愛好家やフィルムメーカーが育ちます。そして我々も、出来る時はぜひ劇場で映画を観て、この素晴らしい伝統を永らえましょう」。そして、幼い頃に映画館に連れて行ってくれたという、ちょうどこの日誕生日を迎えた母親に感謝を述べて締めくくった。

『ANORA アノーラ』は2月28日より新宿ピカデリー TOHOシネマズ シャンテほかにて公開中。

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20年に渡りインディペンデント映画を手がけてきたベイカー監督は、本作でカンヌ国際映画祭パルムドールを獲得。本年度のアカデミー賞では作品賞など6部門にノミネートされ、自身は作品賞と脚本賞、編集賞、監督賞に輝き、自分の幸せのために全力で闘うストリップダンサーを演じたマイキー・マディソンが主演女優賞を受賞した。

Text: Tae Terai

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