ランウェイで披露されてから1カ月も経たないルックを、誰よりも早くレッドカーペットで着る──これほどパワフルなファッションステートメントはない。第97回アカデミー賞は、まさにこのことを証明するものだった。
レッドカーペット上ではもはやシーズンは関係なく、スピードが勝負だと言っても過言ではない。例えば、アリアナ・グランデが着用したスキャパレリ(SCHIAPARELLI)のオートクチュールガウンは約1カ月前にパリコレで発表されたもので、ロザリアが『VANITY FAIR』のアフターパーティーで纏ったディラーラ・フィンディコグルー(DILARA FINDIKOGLU)のルックに至っては、8日前にロンドン・ファッション・ウィークでデビューしたばかりだ。
今から5、10年前、セレブがランウェイルックを着るのはコレクションが店頭に並んでから、つまりショーから数カ月後だった。しかし今、多くのブランドはランウェイルックをできるだけ早くレッドカーペットに登場させることで、そのインパクトを長引かせたいと考えているようだ。しかし、それを成功させるには完璧なミューズを見つけることが鍵となる。
こういったことを考慮すると、グランデが授賞式の夜にスキャパレリを2度にわたり着こなしたというのは、彼女が映画スターの地位に上り詰めたことを裏付けていると言えるだろう。彼女のほかに最新ルックを纏ったセレブのなかには、アレッサンドロ・ミケーレによるヴァレンティノ(VALENTINO)の2025年春夏オートクチュールピースを着用したアルバ・ロルヴァケルや、マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)のニューヨークショーからクロージングルックを手に入れたサラ・ポールソンらがいる。オリヴィア・ロドリゴのロベルト カヴァリ(ROBERTO CAVALLI)のレザードレスは、なんと3日前にミラノ・ファッション・ウィークで登場したばかり。シアラのディースクエアード2(DSQUARED2)もそうだ。
シンシア・エリヴォのヴィヴィアン・ウエストウッド(VIVIENNE WESTWOOD)1997年春夏コレクションピースや、ケンダル・ジェンナーのミュグレー(MUGLER)1992年春夏コレクションピースといった垂涎のアーカイブアイテム、レッドカーペットをフレッシュに彩った最新中の最新ルックなどを改めて振り返ってみよう。
Text: José Criales-Unzueta Adaptation: Motoko Fujita
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