3月2日(現地時間)に開催された第97回アカデミー賞で、ショーン・ベイカー監督作『ANORAアノーラ』のマイキー・マディソンが主演女優賞に輝いた。最有力候補とされていたデミ・ムーアを抑えての受賞には、マイキー自身も驚きを隠せず、舞台に上がると前年度の受賞者であるエマ・ストーンからオスカーを受け取り、「現実とは思えません」とコメント。「すごく緊張しているからメモを読むことを許してください」と断ってから、こうスピーチした。「ロサンゼルスで育ちましたが、私にとってハリウッドはとても遠い存在でした。だから今日、ここに立っていられるのは、すごいことです」
そして彼女のチームや映画関係者、家族、そして舞台となったブライトンビーチに感謝を述べ、セックスワーカーのコミュニティへのサポートと支持を表明。「素晴らしい女性たちと会う特権に恵まれたのは、この最高の経験の中でも一番の出来事です」と称えた。そして、同部門にノミネートされていた『ウィキッド ふたりの魔女』のシンシア・エリヴォと『エミリア・ペレス』のカルラ・ソフィア・ガスコン、『サブスタンス』のデミ、『アイム・スティル・ヒア』のフェルナンダ・トーレスを称賛し、「これは私の夢でした。明日には目覚めてしまうかもしれません。すべてはショーンのおかげです。尊敬しています。ありがとう」と締めくくった。
クエンティン・タランティーノ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019)に短い時間ながらマンソン・ファミリーの一員を演じたマイキーは、ベイカー監督の目に留まり、『ANORAアノーラ』の主役に抜擢。ロシア人富豪の御曹司と若きストリップダンサーとの結婚の顛末を描く本作で、自分の幸せのために全力で戦うアノーラを演じた。
Text: Tae Terai